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もしも脱北政府高官の息子が快楽殺人者だったら…激辛クライムバイオレンス「V.I.P. 修羅の獣たち」

2018年6月19日 09時45分 ライター情報:しげる
もしも脱北して韓国にやってきた北朝鮮政府高官の息子が、快楽殺人者だったら……。最悪の想定を元に、血も涙もない暴力と男たちの情念が乱れ飛ぶ『V.I.P. 修羅の獣たち』は、激辛かつドライな味付けの傑作である。

極悪連続殺人犯は企画脱北者! 逮捕できるか、やっぱり無理か


80〜90年代にかけて、韓国には「企画亡命者」という人々が存在した。北朝鮮から韓国に逃げ込んだ、いわゆる脱北者の一種である。ただ、この企画亡命者は韓国の諜報組織である国家情報院(国情院)とアメリカのCIAが合同で亡命させた重要人物を指す用語で、韓国国内では文字通りのVIP待遇を受けることが慣例だった。北朝鮮の特権階級はアメリカや韓国にとっては最上級の情報源なのだから、全力で機嫌を取る必要があるわけだ。冷戦期から90年代にかけてはこの企画亡命者はかなりの数にのぼったそうだが、現在ではほとんど存在しないとされている。『V.I.P.』は、この企画亡命者を巡る暗闘を扱った映画だ。

2008年、北朝鮮国内で一家全員が惨殺され、しかもその家の娘が暴行の末に惨たらしく殺害される事件が発生。平安北道の保安省職員であるリ・デボムは事件の犯人を北朝鮮政府高官のドラ息子であるキム・グァンイルと睨むが、高官の息子に容疑をかけようとした報復として左遷されてしまう。

3年後の2011年、韓国国内で若い女性を狙った連続殺人事件が発生。しかも捜査を担当した警視が自殺するという最悪の事態となっていた。捜査を引き継いだのは粗暴ながら正義感の強い警視チェ・イド。イドは遺体に残っていた皮膚のかけらを鑑定し、その結果犯人はCIAと国情院の企てにより北朝鮮から亡命してきたグァンイルだと推定する。

逮捕に向かうイドだが、そこに国情院の要員パク・ジェヒョクが立ちはだかる。北朝鮮高官の金融口座の情報を握るグァンイルを逮捕させるのは、国情院とCIAにとって看過することのできない事態だったのだ。卑劣な犯罪者でありながら国家権力に守られたVIPのグァンイルが、捜査網をくぐり抜けることに焦るイド。妨害を前に荒れるイドの前に現れたのは、かつてグァンイルを逮捕しようとして左遷され、北朝鮮の工作員として韓国に潜入していたデボムだった。

こういうストーリーなので、焦点となる容疑者キム・グァンイルが普通の犯罪者だと全然お話が盛り上がらない。だが、『V.I.P.』はそのあたりが完璧。グァンイルを演じるイ・ジョンソクはツルッとした今風の韓国のイケメンだが、ニヤニヤしながら警察を煽りまくり、心底楽しそうに女をいたぶり首を締め上げるシリアルキラーを怪演している。

ライター情報

しげる

ライター。岐阜県出身。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

URL:Twitter:@gerusea

「もしも脱北政府高官の息子が快楽殺人者だったら…激辛クライムバイオレンス「V.I.P. 修羅の獣たち」」のコメント一覧 1

  • 匿名さん 通報

    四つの火病が交差する??

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