わかば「とにかく、どんな無茶な夢でも言うのはタダや。なんも始めんかったら、どこにも行けんでな」
太郎「ほやの」
7月20日（金）放送のドラマ『チア☆ダン』（TBS系列）2話。
部を結成するための条件である部員8名が集まり、いよいよ福井西高校のチアダンス部「Rockets」が発足した。新加入したのは、わかば（土屋太鳳）たちに厳しく接していた生徒会長の麻子と、中学で起こした事件をきっかけに学校を休みがちになっていた茉希。演じているのは、佐久間由衣と山本舞香だ。
不機嫌な女の子を演じるとなぜか目を惹く俳優がいる。90年代ではドラマ『家なき子』（日本テレビ系）の安達祐実や『キッズ・ウォー』（TBS系）の井上真央、映画『百万円と苦虫女』の蒼井優など。佐久間由衣と山本舞香も、そんな俳優になのではないか。
ちょっとはみ出した主人公を押さえつけようとする規律に厳しい委員長キャラと、主人公たちよりさらにはみ出した不良キャラが仲間になる。
委員長キャラも不良キャラも、出会ったときは不機嫌にしている。どちらも別の方向で孤独を感じているのだ。
佐久間由衣は、NHKの朝ドラ『ひよっこ』で有村架純の親友役を演じて知られるようになった。雑誌『ViVi』の元専属モデルだけあって、背が高くスタイルが良い。そんな彼女が不機嫌そうにしていると、ものすごく圧と影響力がありそう。
山本舞香は、『鳥取美少女図鑑』に登場したことをきっかけに芸能界に入った。初めて受けたオーディションで三井のリハウス第14代目リハウスガールに選ばれた美少女だ。顔がきれいな人の仏頂面は、ずっと見ていたくなる美しさと絶対に近寄れない威圧感を兼ね備える。そこに乗り込んでいったわかばたちの、チアダンスにかける思いがすごい。
不機嫌な女の子を演じると光る俳優たち。
麻子がチアダンス部に迎え入れられたときの、泣き顔からの破顔。ぎゅっと閉じられていた厚い唇が、笑顔の形に変わり前歯がのぞく瞬間が嬉しい。
誰からも怖がられていた茉希が見せる、まるで褒められたこどものようなはにかみ。
「地平線が輝く理由は、そのどこかに君を隠しているからだ」ということを歌った歌がある。不機嫌な女の子たちが魅力的なのはこの笑顔を隠しているからだと、2人を見ていて気付いた。
今回、部員になってくれる人を探すために、初めてわかばたち「Rockets」のダンスが披露された。終業式が終わったあとの3分間、MISIAの『HOPE & DREAMS』に合わせて、チアダンスの演目の1つであるポンポンを使ったダンス。
初期メンバー6人のダンスは、まだ揃っていない。
しかし、日本女子体育大学で舞踊学専攻をしていた土屋太鳳、E-girlsのパフォーマーである石井杏奈はもちろん本来ダンスが上手い。他のメンバーも今年に入ってから練習してきたのだから、やろうと思えばきちんと揃えられるはず。
熟練者ではない人では、いちど体でリズムを覚えてしまうと、半カウントずらして踊ることさえ難しい。それを知っていると、あの「よいしょ」と反動で足を上げるかっこ悪い感じや、手の角度の揃わなさ、絶妙なひじの曲がり具合はかえってすごいと感じる。
とはいえ心配になってきたのは、チームにプロがいない状況でわかばたちがどこまで夢を叶えられるのか。
映画『チア☆ダン』では、鬼教師とコーチが鍛え上げ、素人集団から3年かけ全米制覇した。わかばたちはもう2年生の夏休みだ。顧問もまったくの素人である太郎（オダギリジョー）。たとえば同じ部活もののドラマ『WATER BOYS』（フジテレビ系）での目標が「学園祭での演技披露」であったことを考えると、「JETSに勝つ」「全米制覇」はずいぶん果てしない。
実話をもとにしているからこその驚きと説得力、そして疾走感があった映画版。ドラマ版は、それを踏まえて何を伝えていくのか。
現時点では、映画版で最初から最後までずっと大切にされてきた「チアで最も大切なのは、誰かを応援する気持ち」は抜け落ちている。自分のやりたいことだけを考えていたわかばたちがそれに気づき、夢を叶えるという展開なのかもしれない。
そんな口うるさい親のような細かい心配をしてしまう一方で、がんばる10代の学生たちを見ていると、どうしても胸にグッとくるものがある。最後まで見てしまうんだろうな。
第3話は、今夜10時から放送予定。
（むらたえりか）
▼配信サイト▼
・Amazonプライムビデオ
・TVer
・Paravi
・TBS FREE
▼放送情報▼
金曜ドラマ『チア☆ダン』
TBS系 毎週金曜よる10時〜放送
出演：土屋太鳳、石井杏奈、佐久間由衣、山本舞香、朝比奈彩、大友花恋、箭内夢菜、志田彩良、オダギリジョー、佐生雪、溝口恵、福地桃子、堀田真由、伊原六花、足立佳奈、石崎なつみ、坂ノ上茜、守屋ことり、八木莉可子、阿川佐和子、木下ほうか、高橋和也、紺野まひる、松本若菜、本多力、森矢カンナ、木原勝利、広瀬すず、新木優子
原作：映画『チア☆ダン』製作委員会
脚本：後藤法子、徳尾浩司
プロデューサー：韓哲
協力プロデューサー：高山暢比古
演出：福田亮介、金子文紀
製作著作：TBS
公式サイト：http://www.tbs.co.jp/cheerdan_tbs/
太郎「ほやの」
7月20日（金）放送のドラマ『チア☆ダン』（TBS系列）2話。
部を結成するための条件である部員8名が集まり、いよいよ福井西高校のチアダンス部「Rockets」が発足した。新加入したのは、わかば（土屋太鳳）たちに厳しく接していた生徒会長の麻子と、中学で起こした事件をきっかけに学校を休みがちになっていた茉希。演じているのは、佐久間由衣と山本舞香だ。
イラスト／Morimori no moRi
新加入したのは不機嫌な女の子たち
不機嫌な女の子を演じるとなぜか目を惹く俳優がいる。90年代ではドラマ『家なき子』（日本テレビ系）の安達祐実や『キッズ・ウォー』（TBS系）の井上真央、映画『百万円と苦虫女』の蒼井優など。佐久間由衣と山本舞香も、そんな俳優になのではないか。
ちょっとはみ出した主人公を押さえつけようとする規律に厳しい委員長キャラと、主人公たちよりさらにはみ出した不良キャラが仲間になる。
部活ものでは定石の布陣。
委員長キャラも不良キャラも、出会ったときは不機嫌にしている。どちらも別の方向で孤独を感じているのだ。
佐久間由衣は、NHKの朝ドラ『ひよっこ』で有村架純の親友役を演じて知られるようになった。雑誌『ViVi』の元専属モデルだけあって、背が高くスタイルが良い。そんな彼女が不機嫌そうにしていると、ものすごく圧と影響力がありそう。
「イインチョー」が役職名ではなく麻子のあだ名であることもうなずける。
山本舞香は、『鳥取美少女図鑑』に登場したことをきっかけに芸能界に入った。初めて受けたオーディションで三井のリハウス第14代目リハウスガールに選ばれた美少女だ。顔がきれいな人の仏頂面は、ずっと見ていたくなる美しさと絶対に近寄れない威圧感を兼ね備える。そこに乗り込んでいったわかばたちの、チアダンスにかける思いがすごい。
山本舞香 ファースト写真集『サニー/ムーン』（講談社）
不機嫌な女の子を演じると光る俳優たち。
驚くのは、笑顔が抜群に魅力的ことだ。「やっと笑顔が見られた！」というおあずけ感からの喜びもある。けれど、それ以上に本人たちの笑顔そのものが可愛い。
麻子がチアダンス部に迎え入れられたときの、泣き顔からの破顔。ぎゅっと閉じられていた厚い唇が、笑顔の形に変わり前歯がのぞく瞬間が嬉しい。
誰からも怖がられていた茉希が見せる、まるで褒められたこどものようなはにかみ。
誰とも目を合わせないようにしてきた茉希が、笑った瞬間に汐里（石井杏奈）の目をのぞき込む愛らしさ。
「地平線が輝く理由は、そのどこかに君を隠しているからだ」ということを歌った歌がある。不機嫌な女の子たちが魅力的なのはこの笑顔を隠しているからだと、2人を見ていて気付いた。
ダンスが下手な演技が上手い、完成に期待大
今回、部員になってくれる人を探すために、初めてわかばたち「Rockets」のダンスが披露された。終業式が終わったあとの3分間、MISIAの『HOPE & DREAMS』に合わせて、チアダンスの演目の1つであるポンポンを使ったダンス。
初期メンバー6人のダンスは、まだ揃っていない。
映画『チア☆ダン』では、全米大会で「日本人チームは揃えるのだけは上手い（＝表現力がない）」などと馬鹿にされていた。いまは、揃えることすらできていないという状況だ。
しかし、日本女子体育大学で舞踊学専攻をしていた土屋太鳳、E-girlsのパフォーマーである石井杏奈はもちろん本来ダンスが上手い。他のメンバーも今年に入ってから練習してきたのだから、やろうと思えばきちんと揃えられるはず。
熟練者ではない人では、いちど体でリズムを覚えてしまうと、半カウントずらして踊ることさえ難しい。それを知っていると、あの「よいしょ」と反動で足を上げるかっこ悪い感じや、手の角度の揃わなさ、絶妙なひじの曲がり具合はかえってすごいと感じる。
この先、完成したチアダンスが見られることがますます楽しみになってきた。
とはいえ心配になってきたのは、チームにプロがいない状況でわかばたちがどこまで夢を叶えられるのか。
映画『チア☆ダン』では、鬼教師とコーチが鍛え上げ、素人集団から3年かけ全米制覇した。わかばたちはもう2年生の夏休みだ。顧問もまったくの素人である太郎（オダギリジョー）。たとえば同じ部活もののドラマ『WATER BOYS』（フジテレビ系）での目標が「学園祭での演技披露」であったことを考えると、「JETSに勝つ」「全米制覇」はずいぶん果てしない。
実話をもとにしているからこその驚きと説得力、そして疾走感があった映画版。ドラマ版は、それを踏まえて何を伝えていくのか。
現時点では、映画版で最初から最後までずっと大切にされてきた「チアで最も大切なのは、誰かを応援する気持ち」は抜け落ちている。自分のやりたいことだけを考えていたわかばたちがそれに気づき、夢を叶えるという展開なのかもしれない。
そんな口うるさい親のような細かい心配をしてしまう一方で、がんばる10代の学生たちを見ていると、どうしても胸にグッとくるものがある。最後まで見てしまうんだろうな。
第3話は、今夜10時から放送予定。
（むらたえりか）
▼配信サイト▼
・Amazonプライムビデオ
・TVer
・Paravi
・TBS FREE
▼放送情報▼
金曜ドラマ『チア☆ダン』
TBS系 毎週金曜よる10時〜放送
出演：土屋太鳳、石井杏奈、佐久間由衣、山本舞香、朝比奈彩、大友花恋、箭内夢菜、志田彩良、オダギリジョー、佐生雪、溝口恵、福地桃子、堀田真由、伊原六花、足立佳奈、石崎なつみ、坂ノ上茜、守屋ことり、八木莉可子、阿川佐和子、木下ほうか、高橋和也、紺野まひる、松本若菜、本多力、森矢カンナ、木原勝利、広瀬すず、新木優子
原作：映画『チア☆ダン』製作委員会
脚本：後藤法子、徳尾浩司
プロデューサー：韓哲
協力プロデューサー：高山暢比古
演出：福田亮介、金子文紀
製作著作：TBS
公式サイト：http://www.tbs.co.jp/cheerdan_tbs/
