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「この世界の片隅に」「わしが死んでも、一緒くたに英霊にして拝まんでくれ」終戦の8月に5話

2018年8月19日 09時45分 ライター情報:大山くまお
こうの史代原作、松本穂香主演の日曜劇場『この世界の片隅に』。太平洋戦争さなかの広島県呉市を舞台に、主人公・すずと周囲の人々が織りなす日常を描く。

前週に広島、長崎の原爆記の日、数日後に終戦記念日があるということで、特に戦争のことを意識させられる12日に放送された第5話。キーワードは「普通」だった。
原作上巻

水原哲の異常な食卓


昭和19年12月、すず(松本穂香)の幼馴染、水原哲(村上虹郎)が突然北條家にやってきた。重巡洋艦・青葉に水兵として乗り組んでいたが、米軍の攻撃を受けて損傷し、呉の軍港に帰投していた。入湯上陸で上陸した哲は、自分の実家ではなく、すずの嫁ぎ先にやってきたのだ。

これは当時としても普通の行動ではない(むしろ当時のほうが今より拒否感が強かっただろう)。哲が持参した米や缶詰を見て、サン(伊藤蘭)や径子(尾野真千子)がなんとなく宿泊を許してしまう描写があるが、むしろ家長である円太郎(田口トモロヲ)が不在だったからという理由のほうが大きいと思う。円太郎が哲を追い返すことができたかどうかはわからないが……。

周作(松坂桃李)が帰宅して食卓を囲んでいるときも、「すず」と呼び捨てにして「相変わらずぼーっとしとるのぉ」をディスりまくり、何か粗相があれば「連れ帰ったりますわい」と豪快に笑う。夫である周作が心穏やかであるはずがない。何か言い返そうとするが、その前にすずがお盆で哲の脳天を一撃!

それにしても、周作たちが水兵たちに因縁をつけられたとき、割って入って頭を下げることができるような哲が、なぜこのようなことを言ったのだろうか? 食卓をよく見ると、哲の前にある茶碗のごはんがまったく減っていなかった。食事も喉を通らないほど異常な心境だったのだろう。哲はすずから反撃されてやりとりが一通り終わってから、ようやく最初のひとくちを食べていた。

「この世界で、普通で、まともでおってくれ」


周作は哲に「あんたをここに泊めるわけにはいかん」と告げ、哲を納屋に送り出す。そしてすずにあんかを持っていくよう促す。戸惑いながら母屋を出ていくすずの前で、鍵をかけてしまう周作。すずがわずかに一歩、戸のほうに踏み出すのは動揺している証拠だ。周作は戸の前で思いつめた表情を見せる。それを見た径子は一言「あんたも複雑じゃね」。

周作は妻のすずが哲と一晩をともにすることを認めたことになる。死地に赴く哲に、最後に思いを遂げさせようとしたのだろうか? それだけではないだろう。

ライター情報

大山くまお

ライター。著書に『野原ひろしの名言』『野原ひろしの超名言』(双葉社)、『名言力』(ソフトバンク新書)、『中日ドラゴンズあるある』(TOブックス)など。

URL:Fire Stone and Water

「「この世界の片隅に」「わしが死んでも、一緒くたに英霊にして拝まんでくれ」終戦の8月に5話」のコメント一覧 12

  • 匿名さん 通報

    酷い戦争時代の話も天真爛漫なすずさんのあどけなさで、 ほっこり出来ますが、回を増すごとに内容が切実になってきて涙を誘います。

    11
  • 匿名さん 通報

    一銭5厘の赤紙で無理やり招集され武器弾薬糧秣も満足に供給されず、死んだり病気になったらポイッと捨てられますから、ネトウヨは洗脳されて最前線に送りこまれる、それが自民党に奉公することと考えるのも自由だ。

    7
  • 匿名さん 通報

    ネトウヨとか、サヨクとか使う差別主義者は嫌いです❗

    7
  • 匿名さん 通報

    英霊=無駄死に

    4
  • 匿名さん 通報

    19:42. マンガのセリフだから句読点がないんじゃないの?

    1
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