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鬼のように集めまくるという業。蒐めることを仕事にしている人たちに聴いた『蒐める人』

2018年8月30日 09時45分 ライター情報:とみさわ昭仁
続、続々、新、新々、新新新なんて何冊もつづいていたヤツ。〉

もう、いきなり図書館の分類コードの話とかするあたり、「ああこの人もこっちの人か」と嬉しくなってしまう。串間氏が「ヘンな本というのも読んだよ」と言うと、すかさず「野末陳平の?」と問い返す南陀楼氏もいい。古本好きだけにわかる呼吸。

このあとコレクションの話になって、串間氏がいちばん最初に集めたのが「仮面ライダースナック」の袋だったと語るくだりで、ぼくは大きく頷いた。カードではないのだ。カードは熱心に集めている人がたくさんいるから数では敵わない。それよりも、捨てられてしまう袋を保存することを選んだ。ここに串間氏の活動の原点があるのだろう。

“蒐める人”の話をしているといくらでも書いてしまってキリがないので、最後にひとり。巻末に収録された都築響一氏と著者の対談を少しだけ紹介する。

都築氏といえば現代美術、建築、写真、デザイン、アウトサイダーアートなどの分野で数多くの書籍を編集し、自身でも執筆活動を続けてきた人物だ。その活動領域は広く、その独自の視点にいつも驚かされる。

以前は雑誌などの紙媒体で仕事をしてきた都築氏だが、ネットで記事を書くようになって、考え方が変わったと言う。雑誌だとページ数の制限があるので取材したものをすべて掲載できるわけではない。写真は枚数を絞り込まなければならないし、文字数にも限界がある。ところが、ネットにはそんな制限はないので、いくらでも写真が掲載できるし、文章も4万字書いたっていい。

〈僕の場合は作品をつくっているわけではなく報道だと思っているので、カッコよく起承転結があってまとめるよりも、聞いたことをなるべく全部伝えてあげたい。たとえば、写真だって、そこに行けるチャンスがあったんだから、本人のポートレートだけじゃなくて、部屋の隅っことか何でも出したい。(中略)そういう機会を得たんだから、なるべく資料として残しておいてあげたいという気持ちの方が強いんですね。〉

意地悪な見方をすれば、それは編集の放棄なのでは? とも受け取れるわけだが、都築氏は「そういうのにはもう興味がない」と言い切る。

取材というのはある意味で蒐集であり、それを取捨選択(編集)して読者に提示する。しかし、編集を加えた時点でオリジナルは少なからず改変されたことになる。それよりも、いまの時代は集めてきた剥き出しの情報を、そのまま提示してやること。それが“蒐める人”の仕事なのだと、ぼくは理解した。
(とみさわ昭仁)

ライター情報

とみさわ昭仁

1961年生まれ。ゲーム開発、映画評論、コレクター研究、古本屋店主、スカジャン制作、DJなど。神保町特殊古書店マニタ書房は、不定休で週のうち半分くらい営業。

URL:akihito tomisawa index

「鬼のように集めまくるという業。蒐めることを仕事にしている人たちに聴いた『蒐める人』」のコメント一覧 1

  • 匿名さん 通報

    取り合えず、ライターとみさわ昭仁のサイトリンクはあるのに、サイトがないw

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