太郎「俺はRocketsが大事や。みんなの夢は俺の夢になった。
でもな、俺は自分の体のことも大事やし、いつも心配してくれている家族のことかて大事や。何かを手に入れるためには、必ず何かを捨てんとあかんのかな」

8月24日(金)放送の金曜ドラマチア☆ダン(TBS系列)第7話。わかばたちは3年生に進級した。

太郎(オダギリジョー)に代わって顧問代理をしている教頭先生(木下ほうか)が「恋愛禁止」を言い渡した。それをきっかけに、チアダンス部・Rocketsでは恋バナが盛り上がる。麻子(佐久間由衣)が後輩の水嶋(遠藤健慎)にラブレターをもらい、渚(朝比奈彩)たちはそれを応援することに。

一方で、父親がぎっくり腰を患ってしまった妙子(大友花恋)は、家の手伝いをするため大会出場を諦めようとしていた。
「チア☆ダン」Tシャツも見て!練習着をよーく観察したら女子それぞれの自意識、関係性がわかってきた7話
イラスト/Morimori no moRi

チア衣装もいいけど練習着Tシャツもね!


わかばたちが3年生に進級し、チアダンス部の結成から9ヶ月が経った。最初は非日常だったチアダンスの練習も、すっかりRocketsのメンバーたちの日常になっている。その様子が、練習着のTシャツからもよくわかる。

1〜2話までは、制服の下にジャージを履いて練習していたRockets。3話以降はそれぞれTシャツを着ていたが、どこかありあわせのような印象だった。しかしここに来て、一気にメンバーのキャラクターと関係性が見えるようになった。


まず、今回わかば(土屋太鳳)と汐里(石井杏奈)が着ているのは「リアルな女の子のストリートスタイル」を提唱するブランドX-girlのTシャツ。WEB限定もの攻めた配色のTシャツを着ている汐里と、可愛さのあるコラボアイテムを選ぶわかば。お互いに影響を受け合って同じブランドになっている親密さを感じつつ、反面、二人の微妙な性格の違いが表現されている。

穂香(箭内夢菜)は、肩や首周りにレースやフリルのついたカットソーが多い。普段のおしゃれ着としても使えそうで、練習中も可愛くありたい穂香の意思が見える。
渚は陸上部出身だけあって、アスリート系ブランドのUNDER ARMOURロゴTシャツや、肩や脇腹にストレッチ素材の入ったTシャツを選んでいる。
陸上の練習着の着回しで、渚にとっては気合いの入る服なのかもしれない。

琴(志田彩良)は、ノーブランドのようにも見える小花柄のTシャツに白いパーカーを着まわし。琴に限っては、3話の時点からほとんど練習着に変化がない。周りにどう見られるか以上に練習に集中するタイプか、あるいはファッションにあまり興味を持っていないのかも。
ファッションに興味がなさそうといえば麻子もそうだ。麻子は、練習のときいつでもRocketsロゴTシャツを黒いジャージにインしている。
センスがダサいというよりも、裾がピラピラするのが嫌いな性格なのではないか。また、勉強しかしてこなかったため手持ちのTシャツが少ないことも想像できる。

茉希(山本舞香)と妙子は、小ネタ要員だ。
汐里を慕ってチアダンス部に入部した茉希が着ていたのは、「PRIMAL KNOWLEDGE CHAMBERZ」と英字が入った赤いTシャツ。略すと「PKCZ」となり、汐里を演じている石井杏奈(E-girls)と同じ事務所・LDHに所属するユニットの名前になる。
妙子が着ていたのは、えのき×にゃんこモチーフ「えにゃ〜き」のTシャツ。
これは、妙子の苗字が「榎木(えのき)」だから。性格というよりも、妙子がスタッフに愛され可愛がられていることの表れだろう。

ちなみに、病院で太郎が着ていたのはKELEN×ChampionのコラボTシャツだ。恐竜や化石が好きな太郎らしくトリケラトプスのプリントで、よほど気に入ったのか同じものをえんじ色とグレーの色違いで2枚着ていた。好き過ぎて全色持っている可能性を考えると微笑ましい。

こんな見どころ満載の衣装を手掛けているのは、SPECシリーズ(TBS系)やドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)でも衣装を担当した平田博美。

Rockets初期メンバーの陰に隠れることが多くあまりよく見えない他のメンバーたちのTシャツにも、色々と意味が含まれているに違いない。私服のシーンがあまりない部活ものドラマだからこそ、女の子たちの個性や自意識、関係性が見える練習着に注目してみたい。

自分のために頑張る女子と応援する男子


「チア☆ダン」Tシャツも見て!練習着をよーく観察したら女子それぞれの自意識、関係性がわかってきた7話
妙子のような困り顔での水着姿も。大友花恋2nd写真集「Karen2」数量限定版 (TOKYO NEWS MOOK)

落ちこぼれかけていた妙子を切らず、Rocketsは北信越チャレンジカップで優勝を果たす。スマホ禁止や外出禁止などの厳しいルールがある部活動も現実にあるが、わかばたちはどうしたら何も諦めずに前進できるかを工夫したのだ。

また、大会当日の麻子と水嶋の会話は、新しい時代を感じるシーンとなっていた。

麻子「私は、あんまり器用な人間じゃないんや。恋も勉強も部活もなんて、いっぺんには無理や。だけど、楽しかった」
水嶋「先輩……、待ってます。大会が終わって、受験が終わるまで待ってます。ダメですか?」
麻子「……ありがとう!」

水嶋は、勉強や部活を大切にしたい時期の麻子の意思を尊重する。夢中になってRocketsを応援する有紀(八木莉可子)を馬鹿にすることなく、笑顔で見守る。女の子の意思や興味が自分以外のものに向いていても、それを踏みつけず大切にできる男子は尊い。

ドラマ『ダンドリ。〜Dance☆Drill〜』(フジテレビ系)や映画『フレフレ少女』など、好きな男子のために女子が自分を変え部活を頑張るストーリーはたくさん作られてきた。でも、ドラマ『チア☆ダン』の女の子たちはみんな自分のために部活を頑張っている。わかばは幼馴染の春馬(清水尋也)を応援しているが、それは動機ではない。

春馬のように、頑張る女子と並走して頑張れる男子。水嶋のように、頑張る女子を見守り応援してくれる男子。女子も自分のやりたいことを頑張るいまの時代には、こんな男子が愛され重宝されるのだろう。ドラマ『チア☆ダン』は、女子たちだけでなくこれからの男子像も描く。

ところで、ダンスの大会中に先生やコーチなど関係者が誰も演技のビデオを撮っていないことが気になった。自分の演技は、記念の意味でも反省の材料としてもあとからビデオで見たいもの。筆者もダンスを習っているが、ステージに出るときは誰かがビデオを撮ってくれているか必ず確認する。大会側がまとめて撮ってくれるものなのかもしれない。

Rocketsがステージに出る直前、眼鏡を外して「気合いのコンタクト」にした妙子。腕とポンポンで顔を隠して「やっぱ恥ずかしいかも!」と目をつぶり、クネクネして照れる場面が本当に可愛かった。あの妙子をビデオにおさめて何度も見返したいです。

第8話は、今夜10時から放送予定。

(むらたえりか)

▼配信サイト▼
Amazonプライムビデオ
TVer
Paravi
TBS FREE

▼放送情報▼
金曜ドラマチア☆ダン
TBS系 毎週金曜よる10時〜放送
出演:土屋太鳳、石井杏奈、佐久間由衣、山本舞香、朝比奈彩、大友花恋、箭内夢菜、志田彩良、オダギリジョー、佐生雪、溝口恵、福地桃子、堀田真由、伊原六花、足立佳奈、石崎なつみ、坂ノ上茜、守屋ことり、八木莉可子、阿川佐和子、木下ほうか、高橋和也、紺野まひる、松本若菜、本多力、森矢カンナ、木原勝利、広瀬すず、新木優子
原作:映画『チア☆ダン』製作委員会
脚本:後藤法子、徳尾浩司
プロデューサー:韓哲
協力プロデューサー:高山暢比古
演出:福田亮介、金子文紀
製作著作:TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/cheerdan_tbs/