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今夜最終回「この世界の片隅に」原爆投下、敗戦「なにが降参じゃ、馬鹿にしくさって!」すずの怒りの正体

2018年9月16日 09時45分 ライター情報:大山くまお
こうの史代原作、松本穂香主演の日曜劇場『この世界の片隅に』。太平洋戦争さなかの広島県呉市を舞台に、主人公・すずと周囲の人々が織りなす日常を描く。

いよいよ今夜が最終回。先週放送された第8話では、ついに広島に原爆が投下。玉音放送によって日本の敗戦が告げられた。
原作上巻

原爆投下、そして……


広島の江波から呉の北條家に嫁いできたすず(松本穂香)は、いつも自分の居場所を探していた。自分で選んだわけでもない夫と、自分で選んだわけでもない家。だけど、北條家の人々も近所の人たちもすずを優しく受け入れてくれた。

しかし、戦争は激しくなる一方。すずは爆弾により姪の晴美(稲垣来泉)と右手を失う。さらに故郷の広島には新型爆弾(原爆)が投下された。故郷の家族の安否を心配するすずは、第8話の冒頭で広島から吹き飛ばされてきたボロボロの障子に感情移入していた。

「あんた、広島から飛んできたんかね。うちもじゃ」
「うちは強うなりたいよ。優しうなりたいよ。この町の人みたいに、なりたい」

「この町の人」は強くて優しい。径子(尾野真千子)は娘を失っても「すずの居場所はここじゃ」と言ってくれた。義母のサン(伊藤蘭)もいつも優しい。なにより、親友の幸子(伊藤沙莉)と志野(土村芳)がいつもすずを受け止めてくれる。夫の周作(松坂桃李)はちょっと影が薄い。

同時に、すずは米軍に対する憎悪を募らせていた。

「ああ、うるさいねえ! うちは負けんよ!」
「冗談じゃない。なにが降参じゃ、馬鹿にしくさって!」

すずは米軍の爆撃機の音や伝単(ビラ)に対して強い怒りを表す。彼女はこれまで戦時下にあって、まったく敵(米軍)のことを意識していなかった。竹槍訓練のときも、空襲に遭ったときも、米軍に怒りを感じることなど一度もなかった。晴美を失ったときでさえ、自責の念にかられるばかりだった。

しかし、原爆を落とされ、故郷の家族の生死が不明となった今、すずの内面には米軍に対する敵意が明確に湧いてきたと考えられる(もちろん、晴美のことも関係しているだろう)。

戦争に負けても生活は続く


そして昭和20年8月15日。玉音放送を聞くため、北條家に近所の人々が集まってきた。ラジオの前に並んで座っているのは全員女性。ドラマオリジナルキャラクターの幸子と志野が加わったことで、さらに女性感が増している。女たちのドラマを紡いできたこの作品らしい光景だ。唯一の男性、堂本のじいちゃん(塩見三省)は一人で庭に立っていた。

ライター情報

大山くまお

ライター。著書に『野原ひろしの名言』『野原ひろしの超名言』(双葉社)、『名言力』(ソフトバンク新書)、『中日ドラゴンズあるある』(TOブックス)など。

URL:Fire Stone and Water

「今夜最終回「この世界の片隅に」原爆投下、敗戦「なにが降参じゃ、馬鹿にしくさって!」すずの怒りの正体」のコメント一覧 19

  • 匿名さん 通報

    戦争反対と唱えているだけでは戦争はなくならない。自国の政府に対して戦争反対なんて叫んだところで自国以外の戦争は消えないし、自国以外が自国に戦争を仕掛けてくることを止めることはできない。

    11
  • 匿名さん 通報

    > このくだりは劇場アニメが公開された折も話題になった。   ああ、またアニメをパクったドラマだと言いう指摘ですか。Special Thanksと言っておけばパクリもオッケーということで…

    7
  • 匿名さん 通報

    この回はとにかく泣いた。このレビュー読んでまた泣いてしまった。本当に戦争はつらい。戦争がないことにただただ感謝するばかりだ。

    6
  • 匿名さん 通報

    実際に戦争を体験しないとこの気持ちは分からないだろう。日本ももう一回戦争をして多くの国民が犠牲になればいい。特に東京は大規模な空襲でも受ければ庶民の感覚も変わるだろう。

    5
  • 匿名さん 通報

    日曜劇場で「はだしのゲン」を作って欲しい

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