11月24日に『ドロ刑 -警視庁捜査三課-』(日本テレビ系)の第7話が放送された。(関連)
「ドロ刑」中村倫也の「大切な人」のデータを盗んだ遠藤憲一。性癖は亡き人に由来?7話

前回、「GOOD BYE」の書き置きと共に姿を消した煙鴉(遠藤憲一)。
彼が不在となれば、ストーリーの主軸は自ずと13係へ移行する。煙鴉との因縁が根深そうな皇子山隆俊(中村倫也)の過去を読み解くヒントが、今回は次々に提示されたのだ。

皇子山の“脚フェチ”の理由とは……?


窃盗事件が多発中の病院へ潜入捜査することになった13係。結果、斑目勉(中島健人)らは事件とは別の病院の暗部を知ってしまう。外科部長の安斎(神保悟志)が過去に手術で4人の死者を出しており、その事実を隠蔽しているという情報だ。

この不正を暴くべく調査を進めるは、斑目と皇子山と宝塚瑤子(江口のりこ)の3人。実は、皇子山はこの病院に知り合いの医師がいたらしい。

「君がこの病院にいて助かった。真里のおかげだな」(皇子山)
第5話で皇子山が「煙鴉に殺された大切な人」と告白したのは、この真里のことである。

病院事情について、皇子山は詳しかった。何しろ、真里は医師だったのだから。
皇子山 知り合いが昔、(病院に)勤めててな。
斑目 その人は、今も病院に?
皇子山 いや、……いない。


安斎の不正データを収めるパソコンは、厳重なセキュリティルームの中にある。侵入するには2週に一度の清掃のタイミングで業者に紛れるしか手がない。しかも、室内でデータをチェックするには時間が必要。結果、セキュリティルームから出られるのは更に2週間後になりそうだ。
「それも干からびますね、喉乾くし……」(斑目)

この過酷な侵入方法を実際にやってのけた者がいる。煙鴉だ。
13係とは別の病院のセキュリティルームへ侵入、ブドウ糖を摂りながら2週間も天井裏に身を潜め、パソコンからある女医のデータを盗み出していた。その女医の名前は「皇子山真里」。皇子山が思い続ける「真里」その人だ。なぜ、煙鴉が彼女のデータを盗み出したかはまだ明かされていない。

それにしても、13係が関わる“事件”と煙鴉vs皇子山の“因縁”を関連付け、伏線として配置するキメの細かい脚本には唸った。また、この暗い“過去”があるから“今”の影のある性格に至ったのだという皇子山のキャラ設定にも納得だ。


となると、「かなりのヘンタイで極度の脚フェチ」という彼のコメディチックな一面だけはどうしても蛇足に感じてしまう。
ここからは、あくまで筆者の推測。あの唐突な皇子山の性癖は、もしかして彼の過去を解き明かす重要なファクターかもしれない。例えば、生前の真里は美脚の持ち主だった。亡き彼女の幻影を追い続けて皇子山は脚フェチになった、のような。何の根拠もなく、こんな余計な個性は設定しないと思うのだ。


正義感を胸に煙鴉と袂を分かつ


次回予告を見ると、どうやら斑目と煙鴉は再会するらしい。斑目との会話の中で、煙鴉はこんな言葉を吐いている。
「もう、お前に教えることは何もないよ」
今までの2人を思うと悲しくなってしまうが、確かに巣立ちの時かもしれない。初回と今回で、斑目の姿勢はあまりにも違う。

元気のない老患者が気になった斑目。患者の落ち込みの原因は、手術を担当するのが安斎だったから。
安斎の隠蔽は病院内でも周知の事実。でも、内部の人間ではどうすることもできない。
斑目はそれを看過できない。目の前で起こる不正を見過ごせない。らしくない斑目の熱血は、秘めたる正義感ゆえだ。煙鴉の正体を見破りながら「今、オフなんで」「そういうの(正義感)、あんま無いんで」とスルーしたあの頃とは別人のようだ。周囲もそれを認めている。作戦決行の直前、瑤子ははやる斑目に語りかけた。
「大丈夫や。お前のここ(胸)にも入ってる。正義や! それさえあれば怖いもんない」

正義感が芽生えたならば、“伝説の大泥棒”煙鴉を見過ごすなんてできなくなる。師弟対決は、きっともう間もなく。お互い、とっくに察している。煙鴉の不在に斑目は動じていなかった。成長とともに訪れる2人の別離は必然だった。
(寺西ジャジューカ)

『ドロ刑 -警視庁捜査三課-』
原作:福田秀「ドロ刑」(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
脚本:林宏司
主題歌:Sexy Zone e「カラクリだらけのテンダネス」(ポニーキャニオン)
音楽:木村秀彬
演出:大谷太郎、中島悟、高橋朋広
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:能勢荘志、次屋尚、関川友理
制作協力:The icon
製作著作:日本テレビ
※各話、放送後にHuluにて配信中