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オフィスに「ファミレス席」を導入する企業が増えた理由

2018年5月16日 11時00分

ライター情報:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局


オフィスの空間も、灰色のスチール机がずらりと並ぶ、かつての昭和な風景から、快適で居心地のいい環境へと日々変容をとげている。そこには、アイディアやイノベーションを生み、働く人のコミュニケーションを重視したコラボラティブな工夫がいくつも凝らされている。

そんなイマドキのオフィスに行ってみると、非常に高い確率で出会ってしまう形のミーティングスペースがある。それが、ファミレスにあるようなコンパクトなソファとテーブルのミーティングブース、通称「ファミレス席」だ。



ファミレス席はテーブルとソファの距離がとても近く、オープンでありながらも、なんとなく、ちょっと秘密基地っぽい雰囲気を漂わせているのが特徴。背もたれが少し高いソファは座面が浅めで、テーブルの幅も会議テーブルよりは小さめだ。思わず座ってみたくなるミーティングブースで、実際、どのオフィスでも社員に大人気である。

今、このファミレス席を社内用ミーティングスペースとして導入する企業が急増しており、もはやオフィスの必須スペースとなりつつあるのではないかと思えるほどの浸透ぶりなのだ。
ファミレス席はなぜ人気なのか、そのポイントを紹介してみよう。

省スペースで会議室不足を解消してくれる


どこのオフィスでも、会議スペースの“争奪戦”に頭を悩ませているファシリティマネージャーは多いのではないだろうか。慢性的に会議室が不足していて、社内のミーティングに使おうと思ってもなかなか予約できないのは、そこで働く人たちが日常的に感じているストレスになっている。

もちろんオフィスの面積は限られているので、会議室を増やそうにも、今度は執務スペースを削らなければならなくなってしまうのが悩みどころだ。

そんなときに最適な解決法と言えるのがファミレス席。
執務スペース内の空き場所を使って、4人掛けで200x160cm程度というコンパクトなタイプから設置でき、個室の会議室を設置することを考えれば、ずっと省スペースになる。

値は一例です


多くの会社では、ファミレス席は空いていれば予約なしで使えるようにしており、使用中かどうかも一目瞭然なので、空いていればすぐに使える点も人気のポイントだ。

空間を圧迫しないオープンさが魅力


もしファミレス席と同じ広さで、会議室だったら、非常に狭苦しい空間になってしまいまうところだが、ファミレス席の上部の空間は空いているので、意外と開放感がある。

イマドキのオフィスの執務スペースの特徴は、パーテーションで区切らないオープンな空間になっていること。ファミレス席なら上部の視界を遮ってしまうことがないので、そんなオフィスにもマッチする。窓際に設置している会社も多く、執務スペース内からの窓の景色を妨げない。

ファミレス席はオープンなブースだから、守秘性を求められるような会議には不向きだが、ちょっとした打ち合わせや共同作業などには最適だ。守秘性が必要な会議は会議室、それ以外はファミレス席というふうに使い分けることで、会議室の混雑も緩和できてしまう。

使ってみるとやみつきになる、セミクローズの秘密基地


そのオープンさが特長のファミレス席は、一方で、座ると頭が隠れる程度に背もたれが高くなっており(70~100cm程度)、座ってみると、意外とクローズ感がある。オープンで開放的、とじこもれる個室ではないが、入ってみるとちゃんと個室感がある、という不思議なセミクローズ感なのだ。

また、ファミレス席のほとんどは、片側が壁や窓の行き止まりになっている(奥側の壁にホワイトボードや大型モニターを置いているケースもある)。このため、ファミレス席に座るには、実際のファミレスでおなじみのあの動作、奥側に座るために入口側から順に横にずれて入る動作が必要になる。一見、面倒なようだが、座ってしまえば意外と落ち着いてしまう。

なんだか洞窟やカマクラのような狭い空間に入っていく行動が、不思議なワクワク感を呼び起こしてくれるファミレス席。少年少女に戻って秘密基地ごっこをしているようなトキメキを感じさせてくれる。

心理的な距離を自然と近くする効果が


ファミレス席は、ソファとテーブルが近いという特徴もある。さらに、ソファ座面の奥行も浅く、背もたれもまっすぐなので、中に入って座ると、お互いの距離が会議室にくらべて自動的に近くなる。

アメリカの文化人類学者エドワード・ホールは、「かくれた次元」という著書で、人間同士の物理的な距離と心理的な距離の関係を指摘している。距離が大きい順に公衆距離・社会的距離・個体距離・密接距離と分類して、親しい人間関係ほど物理的距離が近くなるというわけだ。

この分類にしたがえば、一般的な会議テーブルをはさんだ会議室での距離が「社会的距離」になるのに対し、ファミレス席でのテーブルをはさんだ距離は「個体距離」になり、より親しい同僚との心理的距離を形成してくれる。自然と親近感が湧く距離に参加者を置いてくれるファミレス席だからこそ、コミュニケーションも密接なものになるのだ。

姿勢まで自然に良くしてくれる


前述の通り、ファミレス席のソファの浅い座面、垂直な背もたれは、座る人の身体を椅子に沿わせることになり、自然と上半身を直立させる姿勢になる。座面シートも沈み込まないタイプが多いので、良い姿勢を保つのに役立つ。ファミレス席に座ると、だらしない姿勢になってしまわずに、自然と前向きの良い姿勢でミーティングに臨むことになるのである。



ここでは一般的にイメージしやすい「ファミレス席」という言葉を使ったが、もともとは、アメリカ映画などでおなじみの、食堂車形式の庶民的なレストラン「ダイナー」の窓際に設置されているボックスシート席に由来しているようだ。日本のファミリーレストランがこのダイナーのボックスシートを取り入れ、今また企業のオフィスがファミレス席としてそれを取り入れていることは、たいへん興味深いことではないだろうか。

ファミレス席はどのオフィスでも社員からの人気が高く、コミュニケーションの活性化に大きく貢献している。
置くだけでファミレス席が作れる、ユニット型家具のファミレス席もオフィス家具メーカーから発売されているので、社内ミーティングスペースの慢性的不足の優れた解決策として、検討してみるのはどうだろうか。

(アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 H.Y)

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