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働き方改革の「副作用」とは? リクルートの働き方調査で見えた課題

2018年6月13日 10時45分

ライター情報:長井雄一朗

左からリクルートワークス研究所の坂本貴志氏と萩原牧子氏

現在、働き方は刻一刻と大きな変化を遂げている。各企業が行っている「働き方改革」や政府が矢継ぎ早に政策を打ち出しており、日本の労働環境は向上している方向に進んでいると思われている。
特に定量的でより精度の高い統計は、リクルートワークス研究所が毎年発表している働き方に関する独自指標「Works Index(ワークスインデックス)」だ。今回、 同研究所は全国15歳以上・約5万人の就業実態を毎年追跡調査する「全国就業実態パネル調査」の第3回調査を実施。この結果に基づきまとめた、働き方「Works Index 2017」を公開し、同研究所研究員兼アナリストの坂本貴志氏と主任研究員兼主任アナリストの萩原牧子が調査報告を行った。その結果、 2017年は柔軟な働き方が広まり、女性とシニアの労働参加が進展した一方、若手などのOJTや自己啓発などの学びの時間が減少したことが明らかになった。
Woks Index2016と2017の比較


働き方の変化が明らかに


2017年は、「働き方改革元年」だった。政府主導で推進する「残業規制」の動向、「テレワーク」「フリーアドレス」「サテライトオフィスの活用」「在宅勤務」「副業」の浸透状況とそれにともなう新制度の導入・改訂などといったさまざまな動きがあった。それとともに、各企業矢継ぎ早に制度を発表していった。
政府や各企業の動向の多くが発表されているが、各就労者の働き方がどのように変化しているか今回の調査結果で初めて明らかになったと言える。

働き方改革のポイントは、働く「場所」と「勤務時間」の自由度が向上しているかという点が重要だ。調査結果では、「勤務時間や場所の自由度が高い」は1.9ポイント上昇した。企業においてテレワーク推進への対応が行われているほか、出勤・退勤時刻を柔軟に決めることなどへの職場の理解も広まっていることが推察される。
また、雇用者の1週間あたりの労働時間は前年に比べ0.2時間減少。仕事時間の中身をみると、本来業務は4.7ポイント増加しているが、周辺業務の割合は3.2ポイント、手待ち時間の割合は1.5ポイントとそれぞれ減少した。周辺業務にかける時間や手待ち時間を減らし、本来業務に注力することによって、週労働時間を削減させているといえる。有給休暇の取得率も向上している。ただし、「有給休暇がない」との回答については、減少しているものの、いまだに多い。
「有給休暇は法令上、付与しなければならないが、中小企業をはじめとする一部の企業は徹底されていないところもある。それでもワークライフバランスは、大企業だけではなく、中小企業でも進展していることが大きな成果とも言えます」(坂本氏)
中小企業は人手不足で悩まされており、その結果、働き方改革を推進する必要が生じたと坂本研究員は指摘する。

若手の働き方改革が進む一方、それを穴埋めするような形で女性とシニアの活躍も目立っている。「就業の安定」については、前年から0.6ポイント上昇し63.6点。
女性は全年代、男性は特に55~64歳と65歳以上のシニア層でスコアが上昇し、就業の安定化が進んでいる。背景には、女性、シニア層の就業率上昇がある。子育てや介護をしている女性など、従来は就労を希望しなかった人が労働市場に参加する傾向が表れている。
「再雇用制度などの進展によりシニアの活用は望ましいが仕事への負荷もかかり、仕事への満足度が下がっている点が気になるところです。シニアは必ずしも喜んでいないのではないかというのが私の実感です」(坂本氏)

家事・育児については、男女ともに時間は伸びる傾向にある。

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ライター情報: 長井雄一朗

建設業界30年間勤務後、アーリーリタイヤで退職。フリーで建設・経済・政治・外国人労働者・中国・韓国について執筆。働き方改革は執筆テーマの1つ。ワイフとともに、日本や海外旅行を満喫。好きな言葉は「私の人生これからだ」

URL:Twitter:@asianotabito