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発達障害の当事者がデザインした理想の服 ファッションブランド「gftd. fashion」の試み

2018年7月13日 11時45分

ライター情報:原田イチボ/HEW

発達障害の当事者たちは、ファッションにも苦労させられている。発達障害は、特定の刺激を鋭敏に受け取ってしまう“感覚過敏”の症状を併発している場合が多いのだが、皮膚感覚が過敏だと、服の縫い目やタグの些細な刺激にも悩まされることになる。そのため感覚過敏を持つ人々は、心地よく着られる服選びに苦労しているのだ。

「偏りを活かせる社会を創る」を理念として、発達障害を抱える人材の人材紹介などを行っているGIFTED AGENT株式会社では、新たにハイリーセンシティブ(感覚過敏)の人に向けたファッションブランド「gftd. fashion」を立ち上げた。さらに今年4月には、第1弾としてファッションブランド「HATRA(ハトラ)」とコラボしたパーカーを発売。同ブランドにおいて製品の立案やデザイン、制作まで担当している濱中明弘さんに、発達障害とファッションについて語ってもらった。
※濱中の濱は、まゆはまが正式表記

「gftd. fashion」イメージ画像


ファッションが好きな気持ちと、肌触りとのせめぎ合い


濱中さん自身も発達障害の当事者で、GIFTED AGENTが運営している施設に利用者として通っていたところ、同社の代表である河崎純真さんから「ファッションの事業を一緒にやらないか」と声をかけられたそう。もともとデザインやファッションに強い感心があった濱中さんだが、感覚過敏の症状のせいで服の選択の幅はかなり狭められていた。タグや縫い目、服自体の圧迫感などがどうしても気になってしまうのだ。

ファッションが好きな気持ちと、肌触りが気になる気持ちでせめぎ合いを感じていた濱中さん。タグを自分で切ってしまったり、服を裏返しにして縫い目などが外に向くように着てみたり、服に関しては試行錯誤が続いた。もちろん通販は使えない。ひたすら合うものを試着で探すしかなかった。

「感覚過敏を持っている発達障害の人はかなり多く、その中でも肌触りに敏感な人は少なくありません。でも、そういう人向けの服がないので自分に合う服を探すのが大変です。それに選択肢が少ないぶん、みんなが同じような格好をすることになってしまう。どうせなら、もっとかっこよくて肌に優しい服を作りたいと思いました」

縫い目やタグや外側に向けられている。


大手繊維商社とのコラボも企画


「gftd. fashion」から発売されたパーカーは、タグや縫い目が外に向けられている。通気性に優れた綿100%の素材を採用しており、肌触りを徹底的に追求した。また、フードにもこだわりが詰まっている。

「発達障害の人は、他人の視線や光といったものに敏感なので、それらに対するストレスを軽減してあげたいと思いました。このパーカーのフードは、かぶることで視界を遮断して、自分の世界にこもることができます。服でありながら、シェルターでもあるイメージでデザインしました」

“服にこもる”イメージで作られたフード


コラボ相手である「HATRA」にとってもハイリーセンシティブ向けの服作りは初めての試みだったが、“居心地のよい服”をテーマとするブランドだけあって、「gftd. fashion」のコンセプトを完璧に実現してくれたそう。濱中さんは、「多くを語らずとも伝わった」と今回のコラボを振り返っている。

現在は子供向けのサイズのみの展開だが、大人からも多くの問い合わせが寄せられている。「gftd. fashion」への反響は大きく、今後、大手繊維商社ともコラボ企画を実施する流れになった。

「大手企業からデザインや縫製を評価していただいたのは嬉しいことです。また、それだけマーケットが大きいと見込んでもらえたということなんでしょうね。第1弾は子供服でしたが、今度は大人から子供まで幅広いサイズで展開していきたいです」

今後作りたいと思っているのは、どんなアイテムだろうか?

「直接肌に触れるものということで、インナーはいつか作りたいです。発達障害の中でも多動がある子供は、少し締め付け感のある服の方が安心して多動が収まるというデータがあるんです。なのでインナーでは、ゆったりよりもキュッとしたもの、心地いいフィット感を追求したいです。あとはスタジャンなど、ファッション性の高いアイテムも作りたいですね」

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ライター情報: 原田イチボ/HEW

基本的にはエンタメライター。なんでも楽しげなところに近づく、プロの野次馬です。好きなものは暴力、アイドル、最近はプロレス。

URL:Twitter:@ichibo_h