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NY大医学部の授業料免除は成功するか 高騰を続ける米大学授業料

2018年9月11日 20時30分

ライター情報:仲野博文


アメリカのミレニアル世代が「新しい情報をアップデートする」という意味で使う「Woke」をタイトルの一部に組み込んだ本コラムでは、ミレニアル世代に知ってもらいたいこと、議論してもらいたいことなどをテーマに選び、国内外の様々なニュースを紹介する。

今回紹介したいのは、アメリカの高等教育にかかるコストの問題だ。授業料だけで年間5万ドル以上かかる有名大学は珍しくなく、結果的に多くの学生が学生ローンから授業料を払って卒業するのだが、多くの卒業生が大学卒業から間もなくして莫大な借金の返済に追われるという問題も発生している。大学の学費そのものがアメリカの社会問題となるなか、ニューヨーク大学は8月、全学生の学費を事実上全額無料にする奨学金の導入を発表した。

1年間の学生生活のコストは1000万円にも
右肩上がりを続ける大学授業料



米東部マサチューセッツ州ボストンには、周辺のエリアも含めると、実に35もの大学があり、その中にはハーバード大学やMIT(マサチューセッツ工科大学)といった、日本でも名前がよく知られた名門校も含まれている。そのボストンで、1970年代に地元の名門大学として知られるボストン・カレッジに通っていた写真家の男性が、先日興味深い話をしてくれた。

「僕が学生だった頃、1年間の授業料は数千ドル程度だった。家賃や生活費を入れても、アルバイトを少しすれば、問題なく学生生活ができる時代だった。学校側が授業料を数百ドル上げようとするだけで、学生がキャンパスで抗議集会を行う。そんな時代だった。今は数百ドルの値上げなんて、学生も親も気付かないのでは?」

たしかに現在のアメリカにおける大学上業料の高騰ぶりを聞いていると、数百ドルの値上げが行われたとしても、その値上げに気付く学生は少数派ではないかと思われる。筆者は2000年と2001年にボストンにある別の学校の大学院で学んだのだが、当時と現在では学費が1万ドル以上も上昇していた。アメリカの大学の学費が高いという漠然としたイメージは日本にも存在するが、実際にはいくらくらいのコストがかかるのだろうか?

「USニュース」誌は昨年9月、アメリカで最も授業料が高い大学をランキング形式で発表している。同誌によると、アメリカで最も授業料の高い大学はニューヨークにあるコロンビア大学で、年間の授業料は実に5万7000ドル(約630万円)に達している。これは大学の授業料平均になるため、学部によっては授業料が5万7000ドルを超えるものもある。また、家賃や生活費、教材の代金なども考えた場合、コロンビア大学で1年間学ぶのにかかるコストは1000万円近くにまで達する。

コロンビア大学の年間授業料の高さには驚きを隠せないが、前述の「USニュース」誌が発表したアメリカ国内の大学授業料ランキングによると、4位から10位にランクインした大学の学費も年間5万4000ドル台で、コロンビア大学とそれほど大きな差があるわけではない。非営利団体「カレッジボード」が発表した最新のデータによると、アメリカの私立大学における年間授業料の平均は約3万4700ドル(約380万円)、州立大学などの公立校でも約1万ドル(約110万円)に達しており、高等教育にかかるコストが非常に高いアメリカ社会の現実が垣間見える。

ライター情報: 仲野博文

ジャーナリスト。1975年生まれ。アメリカの大学院でジャーナリズムを学んでいた2001年に同時多発テロを経験し、卒業後そのまま現地で報道の仕事に就く。10年近い海外滞在経験を活かして、欧米を中心とする海外ニュースの取材や解説を行う。