3千人行列「鈴虫寺」、名物住職の“漫談説法”聞いてみたの画像はこちら >>



鈴虫寺の人気が、すごいことになっている。年間で40万人、連休や休日にもなると1日3,000人もの参拝客が訪れる。

全国各地からはもちろん、地元・京都市民のリピーターも多い。参拝客のお目当ては、「一願成就」の御利益。願い事をひとつだけ、「幸福地蔵」さんが叶えてくれるのだ。



昔から「恋愛成就の寺」として有名だった、「妙徳山 華厳寺」、通称「鈴虫寺」は、享保8(1723)年開創の古刹。4年前に住職が代替わりし、参拝客がさらに増えた。その理由の1つが、現在の住職・桂紹寿さん(47)の“漫談説法”だ。



噂を聞きつけた記者は、「願いを叶えてもらいたい!」と、さっそく京都・嵐山を訪れた。



平日の午前中にもかかわらず、寺へと続く階段には、すでに100人ほどの行列が! 長いときには山門から最寄りのバス停「苔寺・鈴虫寺」まで行列が延びるという。



待つこと約1時間、拝観料の500円を支払い、ようやく書院にたどりついた。まずはここでで30分の「鈴虫説法」を聞き、300円の初穂料で「幸福御守」をいただいて、最後に幸福地蔵さんにひとつだけ願いを伝えるというのが、“願いを叶える参拝”の流れだ。



鈴虫寺の由来でもある4,000匹もの鈴虫の美声が響くなか、凛としたたたずまいのご住職が現れた。一瞬、静まった200人の参拝者を前に、テンポよく語り始める。

まるで漫談を聞いているかのような、爆笑「鈴虫説法」が始まったーー。



■お願い事は“身の丈に合った願い”でなければなりません



「初めての方もいらっしゃるやろから、まずはお願い事の仕方をお教えしましょうね。みなさんのお願い事を叶えてくださるのは『幸福地蔵』さんです。日本で唯一、わらじを履いていらっしゃるお地蔵さんです。みなさんのおうちを一軒一軒訪ねて、願いを叶えてくださるからなんですよ。



どんなお願い事でも叶えてくださいますが、お願いすることは、ひとつでなければなりません。

3つも4つもと欲張っては叶えてもらえません。気が散ってはダメなんですね。あなたがいま何をいちばん求め、必要としているのかを、よくよく見つめ直してみてください。



また、“身の丈に合った願い”でなければなりません。特に願う方が多い『良縁祈願』では『私にふさわしい、結婚できる人に出会わせてください』とお願いするようにしてください。



なかには『嵐の櫻井翔さんと結婚したい』『羽生結弦選手と付き合いたい』と願う方もいますが、これは叶いません(笑)。

なぜなら、それはあなたに“ふさわしい人”じゃないからです」



■願ったあとは、笑顔で暮らすこと



「家に帰ったあと、願いを忘れてはダメですよ。そして、いつもニコニコして暮らすよう心がけてください。『しんどいときこそよう笑え』と言いますやろ。生きていれば、誰にでもイヤなことはあります。そんなときこそ、怖い顔をせんで、鏡に向かってニターッと笑ってみてください。ただし、必ず1人のときにやりましょう。

人に見られたらあきません。アホやと思われますからな(笑)。



笑顔は、縁を呼びます。縁が増えれば願いも叶いやすくなります。



生きていれば、いろんなことが起こりますな。いいことも、悪いこともありますな。

笑顔でいれば、それを楽しんで受け止めることができるようになります。これを仏教では『柔軟心』と言います。この柔らかさが強さになり、優しさになります」



ーー噺家のようなトークに引き込まれ、笑っているうちに30分はあっという間にたった。「鈴虫説法」は住職だけでなくほかの僧侶も行い、来るたびに違うお話が聞けるそう。



さて、説法後、自分のいちばんの願いは何なのかをじっくりと考えた記者。たしかに「身の丈に合った願い」をして「心穏やかに笑顔で過ごして」いれば、どんな願いも叶うなと思いつつ、熟考の末に記者が願ったことは……。



「『私が書いた』と胸を張って言える、いい記事を書かせてください」



身の丈に合っているのか、いないのか、自問自答しながら、お礼参りに来られることを願い、山寺を後にした。