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【シリーズ・震災遺体(中)】震災後約1年 今見つかるのは部分遺体ばかり

2012年1月23日 08時00分 (2012年2月10日 12時01分 更新)
お寺はそれを10年間預かる必要があるのですが、その後はどうなるかまったく決まっていません。その頃には人々の記憶から震災や犠牲者のことも忘れ去られているでしょう。また、遺骨が見つからず、骨壺に遺影だけを入れている人もいらっしゃいます。そうしたことが、少しずつ風化していくことがやりきれません」

 たしかにあれだけの大惨事があったにもかかわらず、震災の記憶は薄れつつある。

 だが、仙寿院では少しだけ明るい出来事もあるらしい。町の人々が身元不明の遺骨を憐れに思い、自らの判断でやってきて花を供え、手を合わせているのだという。年末には50人ほどが手を合わせにきたそうだ。

 芝崎は語る。

「先日は、『遺体』を読んだ方が香川県からきましたよ。70代の男性が一人でやってきたのです。あの本で人々がどのように亡くなり、葬られ、今どうなっているのかを知って、『お焼香をあげさせてほしい』と言ってきたのです。もちろん、こちらからもお願いしました」

 たしかに震災の風化は避けられないのかもしれない。

 しかし、香川県から『遺体』という震災の本を読んで釜石市にきた人のように、心ある人々たちの思いによって、身元不明遺体や部分遺体の尊厳は守られている。

 そのような輪を少しずつ広げることこそが、震災を記憶するということなのだろう。


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