浙江省金華市に住む李さん(仮名)は今年初め、6歳の愛娘の体にある異変が起きていることに気がついた。入浴中、娘の胸が膨らんでいるように感じ、触ってみると乳房も同い年の女の子と比べ硬かったのだ。

さらに3月には娘の下着に出血の痕があり、李さんは急いで娘を市内の病院へ。そこで下された診断は「性早熟症」というものだった。(中国ニュースサイト「頭条網」4月19日付)。

 原因として疑われているのは、彼女の大好物で、頻繁に食べていたという鶏の手羽先。中国の養鶏場では、成長促進剤として女性ホルモンを鶏に投与する事例が相次いでいる。

 中国ではここ数年、食品に含まれる添加物の影響で、第二次性徴が極端に早まる性早熟症が、女児に流行している。
例えば2010年には、浙江省温州市で、女性ホルモン剤が混入した粉ミルクを飲んだ複数の女児に、それぞれ「胸が膨らむ」「初潮が訪れる」などの早熟症状が現れた。上海中医薬大学と上海交通大学付属児童医院が行った調査によると、11年時点で、小学生までの女児人口の約5%が性早熟症を発症しているという。

 同記事では、成長ホルモンの分泌を過剰に促してしまう注意すべき食物を挙げているが、日本人にとって、他人事でいられないものも少なくない。例えば、季節外れの野菜や果物。冬季に販売されるイチゴやスイカ、トマトやリンゴなどには、寒さに負けずに発育させるため、栽培過程で女性ホルモンが使用されていることがあるという。中国産の野菜や果物が、大量に日本に輸入されていることは周知の事実である。


 さらに「乳製品」。中国では、乳の出を良くするために、乳牛に女性ホルモン剤を投与することがあり、加工後の食品にも残留しているケースがあるという。日本に輸入される中国産菓子類の原料として紛れている可能性も否定できない。

 これに加え、中国では、女性ホルモン・エストロゲンを成分とする経口避妊薬が養殖魚の成長促進剤として利用されており、魚肉への残留が確認された例も少なくない。

 その危険性が取り沙汰されて久しいものの、日本の食卓から消える気配は一向にない中国産食品。大人ももちろん、小さい子どものいる家庭では、さらなる注意が必要だ。

(文=青山大樹)