ハーバード大学とスタンフォード大学から強烈なラブコールを受けた、韓国人の“天才少女”がいる――。韓国で大きな話題を集めたが、6月11日に彼女の父親が「事実ではない内容で大きな騒動を起こし、本当に申し訳ありません」と謝罪文を発表。

真っ赤なウソだったことが判明した。

“天才少女”として取り上げられたのは、キム・ジョンユンという18歳の高校生。米トーマス・ジェファーソン科学技術高校に通う3年生で、数学的才能に富む彼女を入学させたいと考えたハーバード大学とスタンフォード大学は、両大学に2年間ずつ通わせるという“特例”まで出したとされていた。もちろん、学費は全額免除の上でだ。「世界一優秀な民族」を自称する韓国だけに、この天才誕生のニュースは一気に拡散した。

さらに、Facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグも彼女の才能に惚れ込み、「ぜひ会いたい」と連絡までしてきたというのだから驚く。
話題を独占したキムは5日、ラジオ番組に登場。自ら、ザッカーバーグとの“秘話”を公開している。彼女いわく、ある日、ザッカーバーグからEメールが届き、数日後に今度は電話がかかってきたという。

「電話を受けたのですが、自分のことをマークというので、最初は誰かわからず、信じなかった。ザッカーバーグは、自分のFacebookに“question&answer time”というエンタリーを今から上げると言い、それを見たら私ということがわかるだろうと話していました」

 ザッカーバーグは彼女に対して、熱心にFacebook本社に来るように誘ったそうだ。

「あまりに遠かったので、お母さんから何か言われそうだと冗談を言いました。
すると、2人の中間地点で会えるなら会おうと言われました」

 細かいディテールまで話すのだから、信じた人も多かった。しかし数日後、ハーバード大学とスタンフォード大学は、彼女が合格したという事実を全面否定。一躍時の人となったキムは、ウソつき少女へと転落している。

 韓国では現在、ソースの確認すらせずニュースを報じたメディアに対して、批判の声が上がっている。それはもっともなのだが、そもそも韓国では学歴や学問に関するウソが多いということを見逃してはならないだろう。

 超学歴社会と揶揄される韓国では、特に学歴詐称が多い。
振り返ると2007年、イン・ジョンアという30代女性が学歴を詐称して、大学教授を務めていたことが発覚。そこから“学歴詐称者狩り”が始まり、有名英語教師イ・ジヨン、建築家イ・チャンハ、大学教授チョン・ドクヒなど、数多くの著名人や芸能人が詐称疑惑にさらされた。

 また、「韓国の誇り」と称され、ノーベル賞間違いなしとまでいわれたファン・ウソクの捏造事件も有名だ。クローン研究者として胚性幹細胞(ES細胞)の研究に成功したとされたが、後に論文の捏造、研究費の横領が発覚し、学者としての表舞台から追放された。
 
 学問関係でウソや詐称の多い韓国。その原因が、超学歴社会が生んだ弊害なのか、ノーベル賞受賞者がいないコンプレックスによるものかは、もう少し精査してみる必要がありそうだ。