安いコーヒーやランチを楽しめるのは、日本の凋落を意味するのだろうか。クラウドソーシング大手「クラウドワークス」の成田修造副社長兼COOが5月5日、「海外行って痛感するのは、『本当に日本は貧乏』ということ」とツイートし話題になっている。



「久々のドトール。さすがに200円台はびっくり。海外行って痛感するのは、『本当に日本は貧乏』ということ。この質と価格は世界水準では全く合ってない。日本はもう、過去の東南アジア的になってますね」


コーヒーチェーン大手のドトールで提供されるようなサービスと味の水準から考えると、価格が安すぎるということだろう。


ニューヨークと比較すると「日本の物価が不当に安い」?



このツイートは話題となり、「日本は貧乏です。

マックだってあんなに安く買えるのは世界で日本だけです」と共感する声も出ていた。ほかには、



「ニューヨークへ行って米国の物価はとても高いと思いましたがやはり日本の物価が不当に安いのだと感じましたわ」


というツイートも。ニューヨークで一蘭や一風堂といった日本チェーンのラーメンを食べようと思ったら1杯15ドル以上は普通だ。日本人は低価格で質の高いサービスを受けられることを当たり前と思ってしまっている節があるが、先進国の中では異様なことのようだ。そういう意味では「東南アジア的」なのかもしれない。


歌手のGACKTさんも2017年10 月、自身のブログの中で次のように指摘していた。



「日本はサービス業が70%近くもあるのに、ほとんどがうまく行っていない。一つの問題は、海外の平均から比べると飲食店の価格提供の安さも大きな原因の一つだ。昼食が800~1000円という価格は正直おかしい。その値段でまともに店はやっていけない」


その上で、飲食店の労働環境が「ブラック」になりがちなのは、「価格設定と人件費のバランスの悪さ」が原因と指摘している。


しかし、今回の成田氏のツイートに対しては「人件費下げる仕事してる人がいるから」とクラウドワークスを揶揄する声もあった。


クラウドワークスには、ホームページ制作や記事作成など多様な仕事が掲載されているが、いずれも単価は安い。

そのため、ブロガーの山本一郎さんも5月7日、「貧乏人向けに安い仕事紹介してるクラウドワークスの人が安い値段でコーヒー提供してるドトール見て『日本は貧乏』とかとんでもねえビーンボール投げてんぞ!!」とツイートしていた。


「宿泊業、サービス業」は産業別の平均賃金が最も低い


内閣府が2014年に発表した資料によると、サービス産業従事者が雇用シェアに占める割合は、2010年には68%に上っている。働く人の7割近くがサービス業で働いているのが現状だ。


しかし厚生労働省の「2016年賃金構造基本統計調査」によると、産業別の平均賃金は「宿泊業、サービス業」が最も低く、男性は271万1000円、女性は196万7000円となっている。さらに「宿泊業、サービス業」は他の産業に比べ、賃金が上がりづらい。人件費を上げない限り、低賃金でキツイというサービス業のイメージは変わらないだろう。