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腸内常在菌が人の思考や行動に影響を与えている? 協同乳業研究員らが発表

2013年4月23日 23時44分 (2013年4月25日 23時43分 更新)
通常菌叢マウスと無菌マウスの比較

協同乳業の松本光晴主任研究員ら研究グループは、農業・食品産業技術総合研究機構・生物系特定産業技術研究支援センター「イノベーション創出基礎的研究推進事業」の平成21年度課題、「健康寿命伸長のための腸内ポリアミン濃度コントロール食品の開発」の研究において、「腸内常在菌」が大脳の代謝系に大きな影響を与えていることを明らかにした。研究期間は平成21~23年度。

人の大腸内に100兆個が棲息しているという「腸内常在菌」は、人の健康に大きな影響を与えており、特に免疫系疾患や大腸ガンとの関与が知られている。また、肥満や寿命など、大腸内環境と直接的に接していない全身系への影響や、神経発達障害や脳の発達と行動にも、腸内細菌叢が影響することが報告されているという。

今回の研究では、同じ両親から生まれた雄マウスを、”無菌マウス”と”通常菌叢マウス”の2グループに分けて飼育。7週齢で安楽死させた後、広範囲の成分を分離・分析することが可能な「CE-TOFMS」を用いて、大脳皮質の脳内代謝物を解析し、腸内常在菌が大脳に与える影響の調査を行った。

解析の結果、大脳皮質からは196の代謝産物を検出。”無菌マウス”の方が”通常菌叢マウス”より濃度が高かった成分は23成分検出された。この中には、行動と関連深い神経伝達物質ドーパミンや、統合失調症との関連性が示されているアミノ酸のセリン、多発硬化症やアルツハイマーとの関連性が知られているN-アセチルアスパラギン酸が含まれていた。

また、解糖系中間代謝産物や補酵素NADHやNADP+など、エネルギー代謝に関連する成分も含まれており、大脳のエネルギー消費にも腸内常在菌が影響していることが判明。これは、腸内常在菌が宿主の思考や行動にも影響している可能性を示唆しているという。

一方、”無菌マウス”の方が”通常菌叢マウス”より濃度が低かった成分は15成分。この中には、神経伝達物質の前駆物質である芳香族アミノ酸(トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン)や、てんかんとのの関連性が示唆されている、ピペコリン酸などが含まれている。

この研究結果について同グループは、腸内常在菌が大脳の代謝系に大きな影響を与えていることを示しており、脳の健康、疾病、発達および衰弱、さらにヒトを含めたほ乳類の学習や記憶、および行動の研究において重要な基礎的知見になると説明している。

■論文詳細

・腸内常在菌の影響を受ける大脳中の低分子代謝産物(パイロットスタディー)
・著者(所属)
松本光晴(協同乳業研究所技術開発室、理化学研究所イノベーション推進センター 辨野特別研究室)
木邊量子(理化学研究所イノベーション推進センター 辨野特別研究室)
大賀拓史(ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ バイオマーカー・分子診断事業部)
相場勇志(東海大学医学部基礎医学系感染症研究室)
澤木笑美子(協同乳業研究所技術開発室)
古賀泰裕(東海大学医学部基礎医学系感染症研究室)
辨野義己(理化学研究所イノベーション推進センター 辨野特別研究室)

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