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“時々の快便”が危険かも…医師語る「便秘にまつわる勘違い」

2018年2月14日 06時00分 (2018年2月15日 10時48分 更新)



「お腹がガスでパンパンに張って苦しい!」



人知れず“お通じ”のことで悩みを抱える人は推定で1,000万人いるとみられている。これまで日本では、便秘は病気とはみなされず、医療機関に相談しても効果的な治療がなされないことが多々あった。自己診断で市販薬に頼って“下痢と便秘”を繰り返して症状を悪化させる人、あるいは、便秘の原因となる深刻な病気を見逃してしまう人までいるという。



「ただの便秘と思って放っておくのは危険です。大腸がんなどの病気や薬の副作用を見逃してしまうこともあるので、苦しいときには我慢しないで医療機関を受診することをお勧めします」



こうアドバイスするのは、横浜市立大学大学院医学研究科・肝胆膵消化器病学教室の中島淳主任教授。ただでさえ病院で自分の便通のつらさを話すことに抵抗のある人は多い。しかも便秘についての“正しい知識”を持たない内科医がいて、門前払いになることもある。



そんな現状を変えようと、消化器内科・外科医らで組織する「慢性便秘の診断・治療研究会」が、昨年10月に日本初の『慢性便秘症診療ガイドライン』(南江堂)を作成した。



特に危険なのは高齢者の便秘。厚生労働省の国民生活基礎調査('13年)によると、便秘に悩む人は60歳までは女性に多いが加齢とともに男性が上回る。介護世代にとっても知っておくべき知識だ。



「筋肉の量も食事の量も減るので高齢者は便秘になりがち。しかも、硬くなった便が原因で大腸に穴が開く病気(宿便性大腸穿孔)になる人も増えてきました。高齢者の便秘は命に関わること。早急に診断・治療体制を整えなければと決断したわけです」(中島先生)



元来人間の体には、朝食後に、腸が動く大蠕動が起きて排便するという規則正しいリズムが備わっているが、忙しい現代人は、通勤でトイレを我慢したり出先で用を足せなかったりして「便秘になりやすい生活」が根付いている。さらには、ほかの病気の薬の副作用で便秘の症状が出ることもある。いま問題がないという人でも、人ごとではない。



そんな、便秘の「予防と治療」新常識を中島先生が解説してくれた。



【質問】スッキリしない日もあるけど、毎日出ているから私は便秘じゃないですよね?



【回答】そうとは言えません。新しいガイドラインでは「体外に排出すべき糞便を十分、かつ快適に排出できない状態」と定義しています。



「これまで日本内科学会では『3日以上排便がない、毎日あっても残便感がある』と定義していましたが、実際に私たちの病院に来る患者さんは、毎日お通じがあっても『スッキリしない』『お腹が張って苦しい』と訴えることが多いのです。たまたま駆け込んだ病院がそれを見逃せば、薬局の市販薬(刺激性下剤)を頼るしかない。それがだんだん効かなくなれば、量が増えて依存症になる可能性も出てくるでしょう。そういった事態を防ぐためにも、便秘の定義を変える必要がありました」(中島先生・以下同)



【質問】基本的に便秘気味なんですが、ときどき快便の週もあったりするので大丈夫ですよね?



【回答】危険です。放置しておくとほかの病気のもとになることもあるでしょう。



「たとえば、肩が凝る、お腹が張る、頭痛などの症状。ほかにも高血圧、肝臓病などの生活習慣病の誘因となることが指摘されています。とくに高齢者は、硬くなった便が“腸に穴を開ける”ことがあるので危険です。悪化すれば、肛門から指を入れて便を取り出す『摘便』が必要になるかもしれません」



【質問】便秘の原因は、私が生まれつき消化器系が弱かったからですか?



【回答】いいえ、そうとは限りません。ほかの病気が原因で起きる便秘も数多くあります。



「旅行先など、いつもと違う環境に遭遇することで一時的になったものは『急性便秘』。これは生活が戻ればそのうちお通じがありますが、気をつけたいのは『慢性便秘』。ガイドラインでは『器質性便秘と機能性便秘』に分類しました。『器質性』は、大腸の狭窄によって便の通過が物理的に阻害されることによって生じる便秘のこと。主な原因として大腸がんなどがあてはまります。また直腸瘤、巨大直腸症、S字結腸瘤など直腸の異常によって起こる便秘もあります。『機能性』は、糖尿病、甲状腺機能低下、慢性腎不全などの内分泌・代謝疾患、脳血管疾患、パーキンソン病などの神経疾患、うつ病などの疾患があると便秘になりやすくなるというもの。さらには裂肛や痔核など肛門の病気で、排便困難・排便時痛から慢性便秘症をきたすことが報告されています。ほかに薬の副作用や自律神経失調症、ストレスも原因となります」

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