若い女性がヘロインの過剰摂取で倒れ、意識がない、中毒死した…こんな話題に事欠かないアメリカ。銃や薬物に絡む事件の現場に子供が居合わせることが多いことも、この国の犯罪事情の特徴である。
このたびのニュースはフロリダ州から。20代のママ友2名が乳児のそばでヘロイン過剰摂取という、あまりにも情けない話題をお伝えしなければならないようだ。

「車に一緒に乗っている友人がヘロインを過剰摂取し、体を痙攣させて意識を失っちゃった。すぐに来て…。」

5日午後1時頃、フロリダ州パームビーチ郡のボイントンビーチ署は若い女性の声でこんな通報を受けたが、その女性も体調がおかしいのか場所を確かめようにも声は途中で絶えてしまった。幸いにも彼女たちのSUV車で起きている異変に気付いた付近の人が911番通報し、警察官らが現場に駆け付けたという。

彼らが目にしたのは、薬物の過剰摂取につき運転席と助手席で意識を失っていた若いママ友2名。
うち1名は最初の通報者であろうが、そちらもヘロイン過剰摂取で意識を失っていた。この母親たちには2度と同じ過ちを犯してほしくない。また薬物依存で同じような問題を抱えている母親たちには、この親子4名が揃って命を落としていた可能性があることを伝えなければならない。同署はそんな気持ちからこのたびの事件の詳細を世間に公開にすることに決めたそうだ。

同署の発表をもとに地元メディアの『Sun Sentinel』が伝えたところによれば、現場はイースト・ウールブライト・ロードの「サンシャイン・スクエア」「UPSストア」などが立ち並ぶ賑やかな商業地区の一角で、バンク・オブ・アメリカ・フィナンシャルセンターの駐車場に停めていた車の後部座席には、生後間もない乳児2名がいた。

ヘロイン過剰摂取が認められたこの子たちの母親、クリステン・オコナー(27)、ジューン・シュワインハート(28)はただちに「ベテスダ・ホスピタル・イースト」に搬送され、回復を待ってから育児放棄および乳児を命の危険にさらした罪などで起訴され、身柄はパームビーチ郡拘置所に送られた。
オコナーの生後2か月の息子とシュワインハートの生後1か月の娘がチャイルドシートに座っていたことだけは幸いしたといい、この赤ちゃんたちは署で数時間にわたり保護された後で家族に引き渡された。

薬物依存克服のリハビリ施設でも一緒だったこの母親たちは、一緒の時期に妊娠して1か月差で出産したほどの仲の良さであった。だが産後になるとどちらからともなくヘロインに再び手を出し、子育てに追われる日々の疲れを多幸感に変えようとしてしまった。育児とは何かとお金もかかるものだが、2人は密売人に60ドルも支払ってこの日使用するヘロインを入手していたという。

なお、両被告とも設定された保証金を支払ったことで現在は保釈となっている。同署の広報担当者は「信じられないほど悲しい状況にあり、何の罪も邪気もない美しい子供たちが最も影響を受けています。
この母親たちが薬物依存を断ち切るための治療を真剣に続けることをひたすら祈っています。この女性たちに違法薬物を販売したディーラーの行方を我々も懸命に追い続けています」と発表している。パームビーチ郡では大人の薬物過剰摂取に子供が巻き込まれてしまうケースが毎月150件前後起きているとのことだ。

(画像は『Sun Sentinel 2017年10月6日付「2 mothers found in SUV passed out on heroin with babies in back seat, cops say」(Palm Beach County Sheriff’s Office)』のスクリーンショット)
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)