子どもの頃から小動物の死骸などに異常な興味を示し、1978年に初めて人を殺めたジェフリー・ダーマー。何人もの男性を殺害、その後に遺体を犯し解体するなどしたダーマーは人肉を食すこともあったといい、逮捕された彼のアパートからは頭がい骨や遺体の様々な部位、遺体の解体に用いた道具などが多数押収された。
「ミルウォーキーの食人鬼」―そう呼ばれ米犯罪史上最も残忍なシリアルキラーのひとりとして世界中に名を知られた彼も、1994年に獄中で死去。同じく収容されていた犯罪者に撲殺されこの世を去ったダーマーだが、彼に惨殺された犠牲者の家族は今も辛い思いを抱え、立ち直れずにいる。

17人もの罪なき男性達を惨殺し、人肉の一部を食する異常な行為にまで及んでいたジェフリー・ダーマー(享年34)。しかしその凄惨極まりない犯行に関心を寄せる人は多く、数年前には「ダーマーが暮らした街をみたい」という人々を集め“同エリアの散策ツアー”を企画する会社も話題になった。当然遺族の怒りは大きく、うちひとりは当時メディアの取材にこのように語っていた。

「まるで私の心はビデオテープのようです。
急に止まったかと思うと、また巻き戻しになり事件のことを考えてしまうのですから。」
「今、私には21歳の息子がいます。母はどんな思いだったことか。(殺された私のきょうだいは)母の子であり、ベビーだったのですから。」

そしてダーマー本人の死から20年以上が経過する今も、犠牲者の遺族や遺された友人達の悲しみと怒りはあまりにも大きい。14歳の「またいとこ」を殺害された女性は、米誌『PEOPLE』に涙ながらにこう語っている。

「苦悩が消えることは決してありません。私には今もなお“あのこと”を話すことができないのです。
あまりにも辛すぎて…。」

ダーマーは複雑な家庭で育ったというが、父親は『A Father’s Story』なる著書を執筆。たびたびTVにも出演し、息子の生い立ちや親としての苦悩、息子への思いなどを語り、全米で大きな話題となった。 実母はすでに他界しているが、彼の父は再婚相手と共にインタビューに応じ、「(亡き)元妻は多くの問題を抱えていたのに、どのような治療を受けても良くならなかった」とコメント。遺伝が息子の凶行の一因になった可能性もあるとの考えを明かしている。

罪なき家族を無残にも殺害された遺族たち、そして一生懸命育て愛した息子が殺人犯になってしまう苦悩を経験した親。どちらの苦悩も想像もできぬほど大きいことは間違いない。

(TechinsightJapan編集部 ケイ小原)