オーストラリアの老舗帽子メーカーの顔として広告モデルを務めたこともある少女。8年前のその写真では無邪気で愛くるしい笑顔を見せていたものの、6年後に少女はネットでのいじめが原因で自らの命を絶ってしまった。
このほど少女の家族がFacebookに悲痛なメッセージを投稿し、「いじめは絶対になくなさければならない」と訴えている。『ABC』『BBC News』『Evening Standard』などのメディアが伝えた。

オーストラリア北部ノーザンテリトリーのキャサリンに住む一家を悲劇が襲った。8年前に老舗帽子メーカー「AKUBRA」のクリスマス広告モデルとしても選ばれたエイミー“ドリー”・エベレットさんが1月3日、14歳の若さで自らの命を絶ってしまったのだ。ドリーさんは約3,000キロも離れたクイーンズランド州ウォリックの寄宿学校で寮生活をしており、突然の悲劇に家族が住む小さな街は大きな衝撃を受けた。

ドリーさんは亡くなる直前、ある絵を完成させていたと家族は話している。
そこには「(いじめに)立ち向かって。たとえあなたの声が震えてしまっても誰かに話をして!」という言葉も記されていたという。父親のティックさんは「このパワフルなメッセージで、娘がどれほど暗い闇の中で絶望し、怖い思いをしていたのか…」と悲しみを露わにした。

ティックさんは自身のFacebookで1月7日、娘の亡き後に多くの人々からサポートのメッセージを貰ったことについて感謝の気持ちを述べ「娘の死が無駄にならないように」といじめ撲滅に向けてのキャンペーン「#STOPBULLYINGNOW」を展開した旨を綴った。投稿には、ドリーさんが命を絶つ原因となったネットいじめについての詳細は一切触れていない。しかしティックさんは「娘はこの世の悪から逃げたかったのでしょう」として、ドリーさんが普段から度重なるいじめを受けていたことを遠回しに明かした。
さらに「いじめや嫌がらせをして優越感に浸っている人たちは、ぜひ娘の葬儀に出席して、自分たちが作りだした想像を絶する惨劇を目の当たりにしてみてください」と投稿し、「このようないじめは、絶対にどこの国でも起こってはならないのです」といじめに立ち向かう強さを訴えた。その後、一家は『ABC』の取材にもこのように語っている。

「こうなってしまった以上、『誰が』『なぜ』娘をここまで追い詰めたのかを追及するのではなく、私たちが経験した悲しみを通して、いじめに直面している人やその家族を救いたいと思ったのです。ドリーは残された家族の苦しみや痛みがどんなものか知ることもなく逝ってしまいました。彼女の死を無駄にはしたくありません。ドリーは親切で思いやりある美しい娘でした。
動物を愛し、年下の子を可愛がり、恵まれない環境にいる子供たちを思いやる心も持っていました。今は娘の死が注目されることによって、他の貴重な命を救うことができればという思いでいっぱいです。」

悲しい知らせを受けた「AKUBRA」も、Facebookの公式アカウントでドリーさんの死を悼み、このように呼びかけた。

「ドリーさんの死に驚きと悲しみを隠せません。いじめはどんな形であっても許されるべきことではないのです。いじめを目撃した時にどう立ち向かうのは私たち次第です。もしかしたら、あなたの娘や姉妹、友人がドリーさんのようにいじめの被害者となることもあり得るのです。
私たちがすべき大切なことは、『話を聞いてあげることができる人があなたの周りにはいるよ』ということを、いじめに遭っている人たちに知ってもらうことです。」

英メディア『BBC News』によると、オーストラリアで昨年は5人に1人の子供がいじめの被害にあっているという。

このニュースを知った人々からは「なんという悲劇」「誰がいじめをしていたのかをどうにかして暴くことができないものなのか」「ソーシャルメディアを運営している会社はこうした悲劇に責任をもつべきだ」「家族の悲しみを思うといたたまれない」「いつの時代になってもいじめがなくならないのが本当に悲しい」といった声があがっている。

画像は『Akubra Hats 2018年1月9日付Facebook「This is not an easy post to write. We were shocked and distressed to hear of the passing of “Dolly”」 』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)