鎮痛剤依存を緩和させるために摂取していた薬物が、幼い男児の命を奪った。このほどアメリカで今年4月に起きた事件の裁判が行われ、その全容が明らかになった。
『Metro』『FOX 29』などが伝えている。

4月2日、米ペンシルベニア州バックス郡ニューブリテンで、生後11週の男児が死亡する事件が起こり、母親のサマンサ・ウィットニー・ジョーンズ(30歳)が過失致死罪で逮捕・起訴された。

裁判に提出された口述書によると事件当日の午前3時頃、お腹を空かせた男児は目を覚まし泣き出した。階下に行き粉ミルクを準備するのを面倒に思ったサマンサは、息子に母乳を与えた。

午前6時頃、母親とは別の部屋に寝ていた男児が再び泣くと、サマンサはこの子の父親でもある夫に粉ミルクを準備してほしいと頼んだ。夫は言われた通り哺乳瓶に準備して、その後は仕事に向かっている。
サマンサに粉ミルクを与えられた男児は午前6時半頃、バシネット(新生児用かご型ベッド)に寝かされた。

ところが1時間ほどして男児の様子を見たサマンサは、息子の顔が青白く変色し、鼻から血の混じった粘液が出ていることに気付いた。驚きで叫びながら家にいた母親に助けを求め、911へ通報した後に心肺蘇生を試みた。

午前7時38分にサマンサ宅へ到着したニューブリテン・タウンシップ警察は、心肺停止状態に陥っている男児を発見し救急車でドイルスタウン病院へ搬送したが、男児は午前8時29分に死亡が確認された。

検死の結果、男児の血液中からメタドン(もしくはメサドン)、アンフェタミン、メタンフェタミンといった薬物が検出された。サマンサは鎮痛剤依存のためメタドンを処方されており、妊娠中だけでなく男児が死亡した日にも飲んでいたことが明らかになった。
当初サマンサは男児を母乳で育てていたが、十分な量が出なかったことから事件の3日前から粉ミルクを与えていた。しかし事件当日はサマンサが母乳を与えてしまったことで、男児は母乳を通して致命的となる混合薬物を過剰摂取し死亡したものとみられている。サマンサには処方箋以外の薬物使用とメタドンを処方量より故意に多く摂取していた疑いがかけられており、今後の捜査と更なる検死結果次第では重罪が科せられる可能性があるという。

逮捕・起訴されたサマンサには他に2歳になる子もいるが、現在は子供の父親が面倒を見ているようだ。サマンサの予備審問は7月23日に予定されており、300万ドル(約3億3,800万円)の保釈金が設定されている。

画像は『Metro 2018年7月16日付「Baby died from drug overdose after drinking mother’s breast milk」(Picture: Splash/Bucks County DA)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)