【離婚時に家を財産分与する方法】トラブルない分け方を考えよう
更新日:2021年12月21日
- 2人できずいた財産
- 婚姻中にきずいた財産
これらに該当する者は離婚時の財産分与の対象になります。家も例外ではありません。 どちらか一方の名義で購入した場合も、ローンを一方が支払っていた場合も財産分与の対象です。 現金や、もっと小さい物でしたらお互いの話合いでスムーズに分与できそうですが、家はどうでしょう。 今回は、家の財産分与でお悩みの方に、分与の方法から、その後住宅ローンがどうなるのかを解説していきます。

離婚時に財産分与する方法は2通り
『財産が半分ずつになるよう分ける』ことが財産分与の基本です。 (離婚の原因や話合いにより分与の割合が偏ることもあります) 家のような価格が大きくて、簡単に分けることのできない財産は以下の様にして分与します。
- 売却し現金化して折半する
- 一方が家を、もう一方が家の価値の半額を現金でもらう
下記の画像は、「離婚後の不動産をどうしたのか?」を独自アンケートを取った結果です。
住み続けたい人が5割以上を占めており、売却が3割占めています。
「住み続けたい」理由としては、「子供のため」といった住環境を変えたくない理由に挙げる人が多かったです。
「売却」理由は、「新生活を楽しみたい」や過去の思い出などの感情的な理由を挙げる傾向がありました。
離婚をしなければならない時、一番の不安要素が財産分与だと思います。以下では離婚時の財産分与の方法を解説しています。
売却し現金化して折半する
家を売却し、その売却金額を折半することで財産分与をすることができます。 家やローンを残しておくと何かとトラブルが付きまといます。 関係をしっかりと断ち切る意味合いでも、家を売却する方法は明瞭かつ安全な選択肢の一つと言えます。 ただし、この方法はローン残債の状況次第で良し悪しが変わります。 家を売却するには、原則住宅ローンを払いきる必要があるからです。 ローンの状況は以下の3通りに分けられます。
- ローンを完済している
- ローンは残っているが、家の売却金額で完済できる (アンダーローンとよぶ)
- ローンは残っているし、家を売却しても完済することができない (オーバーローンとよぶ)
アンダーローンの場合
ローンが残っている方は、不動産会社に査定をしてもらい(いくらで売れるを確認し)アンダーローンであるか把握します。 アンダーローンである場合、そのまま売却を行うことができます。 売却の方法は2通りあります。
- 仲介:不動産会社を経由して第三者に家を売る方法 (平均で3ヶ月ほどの期間を要するが、最も高く売れる)
- 買取:不動産会社(買取業者)に直接売る方法 (はやくて1週間ほどで現金化できるが、仲介の7割程度まで価格が下がる)
とにかく急いでいて、ローンの残債が払えるようでしたら、買取を考えることもできますね。
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オーバーローンの場合
オーバーローンの場合は自己資金を持っていないとして売却することができないので、違う財産分与方法をとる必要があります。 ただし、任意売却が利用できれば、売却することもできます。 任意売却は、金融機関に合意を得たうえで売却を行う方法ですが、『すでに家賃を滞納している』など、返済が困難な方に向けた方法なので、離婚のシーンで使われることは少ないです。
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一方が家を、もう一方が家の価値の半額を現金でもらう
家をもらう側が、その価値の半分を現金で渡すことで財産分与をする方法もあります。 家の価値については、当事者間で合意できる価格であれば基本問題ありませんが、一般的には不動産会社に査定をしてもらい時価評価額で分与します。
ローンがあまりにも多く残っている方や、子供の生活環境を変えないために片方が家に住み続ける場合などによく選ばれる方法です。
ただし、家が残ると、その後のローンの支払いに関してトラブルが発生することも考えられます。
2章では、「財産分与後のローンがどうなるか」について解説しているので、この点をしっかりと確認し、離婚協議で漏れなく話し合うようにしましょう
2つの財産分与の方法を解説してきましたが、どちらもまずは家の価格を知る必要があります。
不動産会社に査定を依頼すれば、無料で家の価格を調べてもらうことができますが、 不動産会社が算出する査定額は会社によって大きく異なるため、いくつかの不動産会社に査定をしてもらい比較すると安全です。
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離婚で財産分与したら家のローンはどうなる?
原則的に、ローンの残高も財産分与の対象ですので、ローン額を二人で払う場合や、財産分与時にローン分多く財産を受け取ることが考えられます。 それでは、実際に支払いを行う人は誰になるのでしょう。 ローン契約のパターンとしてよくある3つの形態を、2つのシーンごとに解説していきます。 ローン契約パターン
- 夫が債務者
- 夫が債務者、妻が連帯保証人(または連帯債務者)
- ペアローンを組んでいる場合
シーン1:夫が家に住み続ける場合
以下では、独自アンケートを行い、夫側の「なぜ住み続けたのか」を記載しています。
※独自アンケートから引用
このように会社の都合や、家を売却することができず夫が住み続ける場合があります。
上述した3パターンで、ローンがどのように動くか確認していきましょう。
1.夫が債務者
この場合は、そのまま夫が返済していくことがほとんどです。
2.夫が債務者、妻が連帯保証人(または連帯債務者)
この場合も、夫が返済していくのがほとんどですが、返済が滞った場合は妻側に支払い義務が発生します。
3.ペアローンを組んでいる場合
この場合の支払い義務は双方にあります。
話合いの結果、住み続ける夫が支払っていくことも考えられますが、その場合は家の名義もローンも夫のみに切り替えておかないとトラブルの原因となりかねません。
ただし、ペアローンは2人で借り入れたローンなので、単身の名義に変更すると、返済能力や信用力が足らず一方だけでは借りられないことが往々にしてあります。
事前に夫だけローンの借り換えができるか金融機関に確認する必要がでてきます。
シーン2:妻が家に住み続ける場合
以下では、独自アンケートを行い、妻側の「なぜ住み続けたのか」を記載しています。
※独自アンケートから引用
上述した3パターンで、ローンがどのように動くか確認していきましょう。
1.夫が債務者
債務者が夫の為、離婚後もローンの返済は夫が行うことが多くあります。
しかし、離婚から年月が経過するとともに、自分の住んでない家のローンを払い続けることに不満を感じる方も多く、経済的にも困難になり返済が滞る場合があるのです。 返済が滞れば、いずれ競売にかけられることになり立ち退きの必要が出てきます。
2.夫が債務者、妻が連帯保証人(または連帯債務者)
妻が連帯保証人や連帯債務者になっている場合は、より妻のリスクが高くなります。夫の返済が滞った場合、住んでいられなくなるうえに、妻に返済義務がのしかかります。
3.ペアローンを組んでいる場合
ペアローンの場合は、「夫が家に住み続ける場合」と同様のリスクがあります。
離婚時に家を財産分与する注意点
お互いが合意さえできれば、財産分与はそこまで大変なものではありません。 分与の割合や方法がある程度自由に決定できるからです。
当事者同士で取り決めることとなる財産分与だからこそ、注意しないと金銭的に損をしたり、今後のトラブルに発展したりします。
ここからは、離婚で家を財産分与する際に注意すべきことを紹介します。
財産分与の期限は離婚後2年まで
財産分与を相手に請求する場合、離婚成立から2年までしかできません。 期限間近になって財産分与の請求を行うと、相手と連絡が取れず2年が過ぎてしまったということも考えられます。 勢いに任せて離婚せず、しっかりと離婚前に話し合っておくことでリスクを回避することができます。
譲渡所得税がかかる可能性がある
不動産を財産分与する場合、家を購入した時の価格よりも分与をした時の評価額が高くなっていると、財産分与をした側に譲渡所得が発生したとみなされ、譲渡所得税が課税されることがあります。
自宅を財産分与する際は、譲渡所得が発生するかどうか事前に査定に出して確認をしたり、専門家に相談をしておくと安心です。実際に財産分与をする際には、税金分も考慮して公平になるように注意しましょう。
ちなみに、マイホームを売却する場合、利益分3,000万円まで非課税にすることができる特別控除が利用できます。一定の要件をクリアすれば、財産分与の際にも利用することができます。
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贈与税がかかる可能性がある
基本的に、離婚に伴う財産分与には贈与税はかかりません。
ただし、例外として離婚よって自宅の名義を変更する場合に、贈与税がかかるケースがあります。それは、自宅の所有権が夫婦のどちらでもない場合です。
たとえば、夫の父親名義の土地を、対価を支払わずに妻の名義に変更する場合は、贈与とみなされます。
まとめ
財産分与の方法を決定するには、ローンの残債や自宅の時価評価額をしっかりと把握することが大切です。
ローンが多く残っている家では、売却することが困難になるためです。
財産分与の方向性を決定していく意味合いでも、まずは不動産会社に査定をしてもらい、家の価値を確認しておくといいでしょう。
その後、どの財産分与の方法をとるにしても、ローンをどうしていくのかも話合う必要があります。
トラブルを回避するには、離婚時の財産分与(ローンを含む)についてはなし合い、離婚協議書をしっかり作成することです。
最も安全なのは、離婚協議書を公正証書として残し、法的効力を持たせる方法です。
勢いで離婚を進めず、できる限り冷静になり話し合いを行いましょう。
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