平凡社 世界大百科事典

サラフィーヤ

近代のイスラム改革の思想・運動を貫く主要な潮流。一般に祖先を意味するサラフsalafは,ここでは預言者ムハンマドの教友(ラシード・リダーによって与えられた。サラフを預言者の教友にのみ限定せず,より広くスンナ派イスラム発展期の伝統のうちにこれを求め,アシュアリーやマートゥリーディーらもサラフだとしつつ,サラフの合理的精神に沿ってシャリーア(イスラム法)のリベラルで柔軟・斬新な再解釈を示そうとしたムハンマド・アブドゥフに対し,ラシード・リダーは師の思想を厳格な正統主義の方向に転換していった。こうして,これ以後のサラフィーヤの潮流は,現実に適合するようにイスラムを変えていこうとするモダニズム(近代主義)的傾向と,現実をイスラムによって正していこうとするファンダメンタリズム(原理主義)的傾向との,二つの対極の間で展開することになった。

板垣 雄三