平凡社 世界大百科事典

ネメシス

ギリシア神話で,人間の分をわきまえぬ思い上がった言動(ヒュブリス)に対する神の怒りと罰を擬人化した女神。その名は〈配分者〉の意。彼女の最も有名な神殿はアッティカ地方のラムヌスにあり,名匠フェイディアス(前5世紀)作の神像が奉置されていた。この神像は,鹿と勝利の女神ニケのついた冠をいただき,左手にはリンゴの枝,右手にはエチオピア人の姿を刻んだ杯を持っていた,とパウサニアス(2世紀)の《ギリシア案内記》が伝えている。

水谷 智洋