平凡社 世界大百科事典

ボルゴグラード

ロシア連邦南西部,同名州の州都。ボルガ川下流の右岸にあり,人口99万9000(2002)。ボルガ川沿いでは4番目の人口をもち,市街は川沿いに70kmにわたってのび,幅は3~10kmである。〈ボルガ川の都市〉の意。1925年までツァリーツィンTsaritsyn(〈皇后の都市〉の意。ただし,サルイ・スー(黄色い水)というタタール地名をロシア式に解釈した名称),61年まではスターリングラードStalingradとよばれていた。水陸交通の要衝,工業の一大中心地で,機械製造,建設資材,食品,木材加工,冶金,石油精製,非鉄金属など各種工業が盛んである。高等教育機関,劇場,防衛博物館などの博物館がある。1589年,モスクワ大公国の要塞都市として建設され,1670年にはラージン,1782年にはプガチョフの率いる農民軍に占領された。19世紀後半から木材取引,バクーの石油輸送の中心地となり,1870年代以後は工業も発達した。1917年の十月革命後,とくに30年代からトラクター工場を中心に活況を呈し,ボルガ川下流地域の行政の中心地ともなった。

 この都市を世界的に有名にしたのは,第2次世界大戦の戦局の転機となったキプチャク・ハーン国の都サライ(新サライ)の旧址もある。

倉持 俊一