平凡社 世界大百科事典

液体ヘリウム

ヘリウムは元素の中で最も沸点が低いため,液化されたのは気体の中の最後であり,1908年,カメルリン・オンネスによって初めて液体ヘリウムが得られた。ヘリウムは原子が閉殻構造であるため原子間の引力がきわめて小さく,また原子の質量が小さいために量子力学的ジュール=トムソン効果による温度の低下を利用して得ており,一方,液体ヘリウム3は,減圧によって温度を下げた液体ヘリウム4と3Heガスを熱接触させることで得られる。

 工業的には,工業用のヘリウムガスを低圧で保存,輸送する目的で液化が行われる。また,液体ヘリウムは低温物理学の実験には欠かせない寒剤であり,さらに,その量子力学的性質はそれ自体大きな研究対象である。寒剤としての応用の対象は,超伝導電磁石やそれを使ったエネルギー貯蔵装置や磁気浮上式鉄道などの大規模なものから,超伝導ジョセフソン計算器などのエレクトロニクス分野まで,広範な広がりをもって急増しつつある。→超流動

小林 俊一