平凡社 世界大百科事典

混合経済

現在の先進資本主義国は,共産主義国の計画経済に対し,市場機構に頼る市場経済が中心となっている。市場経済においては,家計・企業などがそれぞれの経済的利益を追求して,市場経済全体は計画的ではなく,分権的に運営されることとなる。しかし,経済社会全体がすべて市場経済によっておおわれてしまうことは考えにくい。市場経済は制度的には,契約の履行,社会の安全・治安などが保障されていないと存続しえない。民間部門と公共部門との混合という意味で,〈混合経済〉という用語が使われるようになった。民間部門は分権的な仕方で活動しており,他方,公共部門は集権的な仕方で活動していて,両者の行動原理は基本的に異なっている。市場経済において,どの程度まで公共部門がその活動を拡大しても悪影響が生じないかは問題であるが,現在の先進資本主義経済において公共部門の役割が急速に低下するとは考えにくく,混合経済でありつづけるであろう。

貝塚 啓明