平凡社 世界大百科事典

血腫

もともと内腔のない組織や臓器内に出血し,血液が1ヵ所にたまって腫瘤状となった状態をいう。内腔のあったところや管状ないし囊状の臓器内に出血し,血液がたまった状態は血瘤hematoceleと呼ばれ,血腫とは区別されている。また血腫は腫瘤状で血液の塊を形成するが,広い範囲にわたって境界が不明りょうに血液が浸み出した状態は血性浸潤と呼ばれている。血腫の形成により,周囲組織を圧迫し出血のもととなった血管を圧迫して,出血を止める効果がみられることもある。血腫が皮下組織でみられた場合には,せいぜい周囲を圧迫するだけで,異常に大きな障害をおこすことは少ないが,一定の決められた容積しかない部分,たとえば頭蓋内で血腫が形成されると頭蓋内の圧力が著しく高くなり,生命活動に重要な脳組織を圧迫するため,手術などで除去しないと機能障害や死亡の原因となる。外傷による頭蓋内の硬膜内ないし硬膜下血腫はその例である。そのほか,大動脈瘤の破裂によって縦隔や後腹膜内に出血し大きな血腫を形成することもある。

毛利 昇