平凡社 世界大百科事典

宋玉

中国,戦国時代末期の文学者。屈原の弟子とされる。屈原にならって主として辞賦作品を作ったが,その批判精神は受け継げず,主君の好悪のままに作品を作る宮廷作家の最も早い例ともされる。宋玉の作品として,《文選》には〈風の賦〉〈高唐の賦〉〈神女の賦〉〈登徒子好色の賦〉など,《楚辞章句》には〈九弁〉〈招魂〉などが収められるほか,《古文苑》にも幾編かの宋玉作と称する作品が収められている。しかし彼の伝記に確実なよりどころのないこととあわせて,それぞれの作品の来歴にも多くの問題のあることが指摘されている。ただこれら宋玉の作と称される諸作品は,〈九弁〉が“悲秋”の文学伝統に,また〈神女の賦〉が美人描写の文学伝統につながるなど,後世の文学に大きな影響を与えている。

小南 一郎