平凡社 世界大百科事典

孫子

中国古代の兵書。兵法書のうち最も著名で,日本での影響も大きい。全13編。春秋時代の呉の孫武(前500年ごろ)の著とされるが戦国(前4世紀)の作であろう。行軍,地形,火攻,用間(スパイ)などという各論も精密であるが,〈兵は国の大事〉として開戦の慎重さを求め,戦争の主導性を強調するなど特色に富み,そこに人生問題一般に通ずる深い思想性がみられる。日本ではすでに《続日本紀》天平宝字4年(760)の条に《孫子》の記事が見え,江戸時代には荻生徂徠,新井白石,佐藤一斎らの注釈書が出ている。なお戦国時代の斉の孫臏(そんぴん)の兵書も《孫子》といい,近年中国で発見された。

金谷 治