平凡社 世界大百科事典

ソーマ

古代インド,ベーダ時代の宗教の中心をなす祭式において,祭火により諸神に捧げられ,残余を祭官その他の者たちにより飲まれた興奮性の飲料。祭式は飲料の名を冠してソーマ祭と呼ばれている。同名の植物を板上で両手に持った石器または臼で砕き,圧搾した液を羊毛の濾布でこし,木椀に入れ,水,牛乳等を混ぜて作られた。神々,特にインドラはこれを好み,これにより敵に打ち勝つ力を増大させ,また人間は詩的霊感を得たとされる。この祭式と特殊な供物の重要さは,《リグ・ベーダ》第9巻の全体が〈自身を浄化するソーマ〉の賛歌よりなっていることからもうかがわれる。ソーマは語形上アベスターのハオマと一致し,その起源はインド・イラン族の分離以前にさかのぼる。しかしインドでは実物の入手がむつかしく,早くからさまざまな代用物が用いられたため,植物学的同定は困難である。また神格としてのソーマは擬人法は発達しなかったが,《リグ・ベーダ》末期以後は月を神話上天に存するとされるソーマの容器と見たてる考えから月(神)とされるようになった。漢訳〈蘇摩〉はこの月(神)を意味する場合が多い。

高橋 明
平凡社 世界大百科事典

ソーマ銀

17世紀初頭,日本から大量にイギリス,オランダへ輸出された上質の銀をいう。この銀は銀座を設立し,地銀を集めて貨幣としての丁銀や豆板銀(含銀率80%)を発行し,輸出銀もこれに切り替えるようにつとめた。しかし地銀の輸出はなお続き,21年(元和7)ごろまでは輸出の主体をなしていた。

佐々木 潤之介