平凡社 世界大百科事典

ソン・ゴク・タン(Son Ngoc Thanh)

カンボジアの反仏,反王制,共和派の民族主義者。1942年僧侶や市民の反仏デモを指導して逮捕されたが,脱走して日本へ亡命した。45年3月の日本軍による仏印軍武装解除後,カンボジア新政府の外相に就任し,日本降伏後の政治空白期に首相となったが,10月再進駐してきたフランス軍に捕らえられ,反逆罪で禁固20年の判決を受け,フランスで服役した。カンボジア政府の交渉により政治活動からの引退を条件に釈放され,51年帰国したが,カンボジアの完全独立を求めて地下活動に入り,タイ国境付近で反政府派のクメール・イッサラに参画,指導者の一人となった。54年カンボジアが完全独立すると,シアヌーク国王に忠誠を誓ったが拒否され,タイへ亡命した。その後右派勢力に接近してシアヌークの中立政策などに反対し,72年ロンノル大統領の下で第1国務相(首相格)になったが,75年のロンノル政権崩壊後はベトナムへ逃れた。

石沢 良昭