平凡社 世界大百科事典

神の子

古代オリエントと旧約聖書(《サムエル記》下7:14,《詩篇》2:7)では王を指す尊称。新約聖書ではイエス・キリストに最も多く冠せられる尊称の一つ。イエス自身が実際に自己をそう表示したわけではなく,生前に神を〈父〉(《マルコによる福音書》14:36)と呼びかけた彼の権威を彼の死後の原始キリスト教団が言い表したもの。最終的には《ヨハネによる福音書》冒頭に見るような,〈神の子〉イエスが万物に先立って存在するという〈先在〉の観念にまで発展した。

大貫 隆