平凡社 世界大百科事典

ソナグラフ

音声学)のように,短い時間に次々にその構成要素が変わっていく音を分析するのには便利な装置である。正式には音声スペクトログラフsound spectrograph,また通称単にスペクトログラフとも称し,これによって得られる図形をスペクトログラムspectrogramというが,しばしばその商品名であるソナグラフの名で呼ばれ,その図示をソナグラムsonagramという。

 図1は母音[a]のソナグラムを示している。ここでは横軸が周波数を,縦軸が音の強度を表示するデシベルdBの単位を表している。音波の性質は波の高さ(振幅)と単位時間内に生じる波の数(周波数)により決まる。振幅が大きく周波数が多くなるほど音は大きく聞こえ,それだけに費やすエネルギーつまり音の強さも大となる。こうした異なる音の相対的強さを表す単位がデシベルで1dBの違いは人間の耳で聞き分けられる強さの違いに相当する。そして20dBでは強さは100倍となる。いま帯域フィルターをかけて強さが強ければ濃く,弱ければ薄く記録するように仕掛けておくと図2のような英語の二重母音[a]ではF1とF2の間隔がひらき,[a]ではせばまる結果となる。このようにF1とF2は舌の前と後の共鳴室から生じる共鳴音の大小に反応している。

 いまやソナグラフは単に言語音声を音響的に分析するためのものではなく,ソナグラフの原理を逆転させることにより,ソナグラムに印された図形を読み取って音声に変えることもできる。ソナグラムにフォルマントを記入することにより合成音(音声合成)を作成することが可能となっているし,コンピューターにソナグラフを結合させて言語音声を識別させたり発音させたりする研究も進んでいる。

小泉 保
図1~図2
図1~図2