平凡社 世界大百科事典

松菊里遺跡

韓国,忠清南道扶余郡草村面一帯の標高40m以内の低い丘陵地帯に立地し,中西部地方における無文土器(青銅器)時代前半期の代表的集落遺跡。遺物は,2km×1.5kmの範囲に分布し,朝鮮半島最大の遺跡と考えられるが,そのうち一部が,1975年から78年にかけて4次にわたって発掘調査された。その結果,19基の住居跡と4基の小型甕棺墓などが発見された。住居は竪穴式で,平面が円形と長方形をなしているが,内部床面には炉をつくっていない。円形の竪穴住居跡の中央には二つの柱穴があるのに対して,長方形のそれには柱穴を欠いている。竪穴式住居には,袋状の竪穴が伴うものがあり,食糧の貯蔵穴と思われるが,朝鮮半島で最初の発見例である。3ヵ所の住居跡の床面で炭化米がかなり検出されている。住居跡群の内外から,多量の無文土器や,石斧,石庖丁,石剣,石鏃といった磨製石器のほか,銅斧の鋳型も採集されている。この遺跡の一隅で1974年に発見された箱式石棺墓には,碧玉製管玉,天河石製勾玉からなる装身具や,磨製石剣・石鏃,遼寧式銅剣,銅鑿などの副葬品が出土し,この遺跡を残した集落の族長級の墳墓と推定される。

西谷 正