平凡社 世界大百科事典

サルオガセモドキ

木に着生垂下するパイナップル科のひも状の多年草。根は退化し,細い茎はまばらに二叉(にさ)状に分枝しながら,ときには5m以上に垂れ下がる。葉は線形で長さ3~5cm,表面はよごれた銀白色の鱗片毛で覆われている。この鱗片毛は空中の霧から水分を吸収するのに役だっている。花序は茎に頂生し,披針形の苞葉につつまれたただ1個の花からなる。萼片は3枚,花弁は小型で目だたず,先は反曲し紫色。蒴果(さくか)は1.5cmほど,線形で断面は鈍三角形。種子は細長く,冠毛状の毛を有し,風によって散布される。北アメリカ南東部からペルーにかけて広く分布し,根は付着するだけで他の機能をもたない完全な気生植物air plantとして有名で,その特異な形態のため観賞用に温室で栽培される。寒さにはやや強く,日本の西南暖地では屋外でも越冬可能という。乾燥した植物体は弾力性があるため包装物の詰物に利用される。

堀田 満