平凡社 世界大百科事典

ヘダイ

スズキ目タイ科の海産魚。本州中部以南,西部太平洋,インド洋に広く分布する。浜名湖でコキダイまたはマンダイ,沖縄でチバー,高知でヒョオゴ,字和島でヘエマジルなど多くの地方名がある。タイ類の一種で,両あごの前部に門歯状の犬歯をもち,両あごの側部には約3列の臼歯(きゆうし)をもつ。全長45cmに達する。体は淡青色を帯びた銀白色で,腹側は淡い。各うろこの中心には黄褐色の部分があり,これが前後に連続し黄褐色線状に見える。腹びれとしりびれは黄色。沿岸性の魚で,ときに内湾にも入ってくる。肉食性で貝類,甲殻類,多毛類,棘皮(きよくひ)動物などを食べる。産卵期は4~6月で,球形浮性卵を産む。卵は直径約1.0mm。一本釣り,定置網,底引網,刺網などで漁獲する。刺身,塩焼き,煮つけなどにする。磯くささがなく,クロダイなどより美味である。近年増養殖事業の発達により,マダイなどとともにヘダイの種苗生産の研究が行われている。

望月 賢二