平凡社 世界大百科事典

スピリット洞窟

タイ北西部のミャンマー国境に近い,メ・ホンソン県メイ・サンナム村付近に所在する洞窟遺跡で,パイ川支流のコン川西岸の石灰岩崖に位置する。1966年にチェスター,ゴーマンが発掘調査を行った。下部の第4・3・2a・2層を文化層Ⅰとし,生活面かとされる2層上面と1層を文化層Ⅱとしている。Ⅱはホアビン文化に属し,大型粗製で片面加工の礫器,磨石(すりいし),二次加工を施した使用痕のある剝片石器が主たる遺物である。ⅠはⅡと同様の遺物が引き続いて発見されるほか,敲打(こうだ)し一部を磨研した方角斧やその半製品,小型で磨研した粘板岩のナイフ,縄蓆文および磨研した土器が出土した。炭素14法による測定では,Ⅰは11690-9455B.P.,Ⅱは7622±300B.P.の年代が得られている。キュウリ,ヒョウタン,ヒシ,マメ等の植物遺存体の発見による植物栽培の存在,ホアビンの石器と土器の共伴に関しては現在では否定的な見解をもつ学者が多い。

重松 和男
平凡社 世界大百科事典

霊魂

身体にひそむと信じられる超自然的な存在。人間だけでなく万物にひそむとされるときはアニマanimaといわれる。また古代ギリシアでは,アートマンなどがそれである。一方,霊魂には身体や事物を基盤としてそこに自由に出入する機能があるとみなされてきた。一般に精霊や生霊や死霊と呼ばれる存在がそれである。この考えは未開宗教や古代宗教において多くみられ,E.B.タイラーによると,とくに未開人はこのような霊魂(アニマ)の存在によって夢や幻覚や失神や死の現象を説明しようとしたのだという。また,それらの遊離し漂泊する精霊や生霊を操作したり駆使したりすることによって,治病や託宣や呪詛を行う呪術・宗教的な職能者もあらわれた。

 霊魂の考え方には,東南アジアなど多くの民族にみられるように複霊観をとる場合があるが,中国の

山折 哲雄
コラム-霊魂の行方--超心理学における死後生存仮説
コラム-霊魂の行方--超心理学における死後生存仮説