平凡社 世界大百科事典

クマタカ

タカ目タカ科の鳥。タカと名付けられているものの中では最大級の一つ。とくに日本産の亜種は大型でりっぱである。全長70~80cm,翼の開張は150cmに達するが,南方のものは小さい。日本を北限として,中国南東部,ヒマラヤ,インドの一部,スリランカ,東南アジアに分布する。森林,とくに針葉樹林に好んで生息する。渡りはしない。背面は黒褐色で,下面は白っぽく,黒褐色の縦斑がある。尾には5~6条の黒い帯があり,飛翔(ひしよう)時に目だつ。後頭部の羽毛はやや長く,興奮すると冠状に立てる。くちばしは黒い。イヌワシに次ぐ森林性の猛禽(もうきん)で,ノウサギ,キジ,ヤマドリなどの中型の哺乳類と鳥を捕食するので,イヌワシとは生態的に競合する。イヌワシの多い地方では,イヌワシの大きなテリトリーの境界にクマタカの小さなテリトリーがモザイク状に点在している。日本では,3~4月に樹上に小枝を集めて大きな巣をつくり,1腹2個の卵を産む。かつては鷹狩りによく使われた。

竹下 信雄