平凡社 世界大百科事典

シュプレヒコール

(1)古代ギリシア劇などで,数人が合唱のように同時に,または交互に朗読を行うこと。さらにこの形式で書かれた作品をさすこともある。この朗読(朗詠)は身ぶりを伴ってリズミカルに行われることが多く,古来,宗教的儀式や演劇のなかに同様の表現形式を見ることができる。

(2)デモ行進のときなどに,スローガンやモットーを一斉に大声で連呼すること。第1次世界大戦後のドイツで定着し,日本の労働運動にもとり入れられた。労働運動におけるこの表現形式は,ふたたび舞台の上に用いられるようになった。その多くはアジプロ演劇や政治演劇の分野においてであり,たとえば,ロシア革命演劇やドイツ表現主義の舞台,また移動演劇にも利用された。舞台上で真の演劇的効果をあげるためには,直接的に情緒に訴えかけるだけの形とは異なった構造の深化が必要だと思われる。

岩淵 達治