平凡社 世界大百科事典

シャチホコガ

鱗翅目シャチホコガ科の昆虫。幼虫が特異な姿態を示す。幼虫の3対の胸脚のうち,中・後胸の2対が異常に長く発達し,静止時には胸部と尾端部をもち上げて強く背方にそらせるので,これを城郭の棟の装飾に使う鯱(しやちほこ)に見たててこの名がある。成虫は開張約5.5cm内外。紫灰色でやや赤褐色を帯びる。ユーラシア大陸に分布,日本にもふつうに産し,年2回,4~6月および7~9月に現れる。ケヤキ,カエデ,サクラなど各種の広葉樹につく。また,この種を含むシャチホコガ科Notodontidaeは,世界の全大陸に分布し,温帯や亜熱帯の森林に多い。中型から大型のガで,幼虫は主として樹木につくが,一部ササやタケなどにつく群もある。日本には約120種を産する。前翅に銀色の紋をもつギンモンスズメモドキや,ときにブナ林に大発生して大害を与えるブナアオシャチホコなどがよく知られている。幼虫は種類によって特異な形態をしているものが多い。

杉 繁郎
図-シャチホコガ
図-シャチホコガ