平凡社 世界大百科事典

ブリッカー(Steen Steensen Blicher)

デンマークの作家。牧師の家に生まれ,自らも牧師を務める。ユトランドの片田舎で貧しく暮らし,家庭的にも不幸であった。母の狂気が彼の作品にメランコリーな雰囲気を与える。前半は詩を中心に,後半は散文を主としたが,新しいジャンル--日常生活を描く絵画的な小品--を開く。共通語では表現しきれないユトランドの思い出,言い伝えなどを方言を用いてリアルに写し出すことに優れ,その代表作は《教会書記の日記》(1824)である。

岡田 令子