平凡社 世界大百科事典

ステファン・ネマーニャ(Stefan Nemanja)

セルビアの中世のネマニッチ王朝(1168-1371)の始祖。在位1168-96年。初めジュパン(族長)としてビザンティン支配下のイブラ川流域を治めていた。その後ビザンティンとベネチアの抗争を利用して重要な海港コトルを占領,1183年にはハンガリー人と組んでさらに領土を拡大する。バルカン半島を通過した第3次十字軍の神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世バルバロッサにビザンティン攻撃の同盟を申し込んだが,これは拒絶された。セルビア南西部のラシュカ地方を中心に権力を確立すべく,ボゴミル派を迫害して正教会を保護。ストゥデニッツァ修道院を建立し,貴族同様に封土を与え,正教会の支持をえた。1196年次子ステファン・ネマニッチを後継者に立て,自らは修道士シメオンとなる。アトス山へこもり,末子サバとヒランダル修道院を創建して,中世セルビア文化のセンターにつくりあげた。

田中 一生