平凡社 世界大百科事典

トド

鰭脚(ききやく)目アシカ科の哺乳類。アシカ科の仲間では最大。漁業に与える被害が大きいので漁業者からきらわれる存在。カイバともいう。北半球においてアシカ科の動物は,太平洋にのみ分布し,大西洋には分布しない。トドは北海道,サハリン,千島列島,アレウト列島,アラスカ半島,北アメリカ太平洋沿岸に分布,カリフォルニアアシカの生息域北側,オットセイの南側に分布する。北海道では繁殖場はないが,全域に出現する。日本海,オホーツク沿岸に雄が,太平洋沿岸には雌が回遊する。オットセイのように7000kmに及ぶ大回遊はしないが,小規模の繁殖回遊をし,5~8月の繁殖期は繁殖場付近で過ごし,秋,冬は南下回遊する。一般にアザラシと異なり海氷を避ける。一夫多妻型で雄が大きい。雄が体長300~325cm,体重1tに達するのに対し,雌は体長240cm,体重270kgでしかない。雄,雌ともに茶褐色の体色をし,あらい毛でおおわれる。オットセイのような柔らかい下毛はほとんどない。雄は首の周囲にあらい毛のたてがみが発達し,額が高く突出している。食性は魚が中心であるが,イカ,タコ,ときにはアザラシの子や海鳥も捕食する。胃の中に石がよくのみこまれているが,その理由はわかっていない。タコとともにのみ込まれるともいわれている。→アシカ

内藤 靖彦