平凡社 世界大百科事典

スペンダー(Stephen Spender)

イギリスの詩人,批評家。ロンドン生れ。オックスフォード大学時代の友人W.H.オーデンらとグループを組み,1930年代の詩壇に登場。スペイン内乱では共和政権側の義勇兵として参加,政治意識の強い詩を発表した。詩集《静かな中心》(1939)など初期の心やさしいロマン主義的な詩風は,のちの《寛容な日々》(1971)ではより強靱な口調に変化している。評論には,H.ジェームズらの近代文学には近代社会に通じる一つの破壊的原理,不吉な政治的運命の自覚が認められるとした《破壊的要素》(1935),さらに破壊的要素を政治的からくりではなく社会そのものととらえなおし,作家個人(単独者)の創造的エネルギー(夢)の観点から,19世紀末以降の文学の3局面を論じた《創造的要素》(1953),《イギリスとアメリカ--愛憎の関係》(1974)などがあるほか,自伝《世界の中の世界》(1951)がある。国際的な総合雑誌《エンカウンター》の編集(1953-67)も務めた。

高橋 康也