平凡社 世界大百科事典

ムネエソ

ワニトカゲギス目ムネエソ科の深海魚。体は側扁し,体高が著しく高くひし形に近い。口は斜めで小さく眼径にほぼ等しい。腹面や体側に黒色素で縁取られた発光器群がある。発光器は縦長ですべて下方を向いている。背びれは体の中心より後にあり,その直前に透明で鋸歯状の縁をもつ背板がある。しりびれは体の中心のやや前方より尾びれ直前まで続き,その前半部の付け根部分は透明となっている。歯は微小で,おもに小型甲殻類を食べる。太平洋,インド洋,大西洋の温・熱帯域の水深200~1000m層に広く分布する。ときには海面付近で採集されることもある。体長6cm程度の小型魚。カツオ・マグロ類の胃内からもよく発見される。ムネエソ科Sternoptychidaeの魚類はホウネンエソ属,ムネエソ属,テンガンムネエソ属の約50種が全世界より,約17種が日本近海から知られている。そのうちホウネンエソ属は陸棚周辺海域中心に分布するのに対し,他の2属は外洋域中心の分布をする。→深海魚

川口 弘一