平凡社 世界大百科事典

財団法人

一定目的のために提供された財産を管理・運営するために設立される宗教法人など,特別法によって規律されているものは多い。

設立手続

財団法人の設立は,生存中はもちろん,遺言によっても行うことができる。設立にあたっては,まず,設立者が財団法人設立の意思をもって一定の財産を出捐(しゆつえん)し,同時にその財団法人の根本規則を定めなければならない(39条)。これを寄付行為という。財団法人の根本規則を定めた書面も寄付行為といわれるが(狭義の寄付行為),これには最小限,目的,名称,事務所,資産に関する規定,理事の任免に関する規定などが定められていなければならない(39条)。もっとも,これらのうち名称や事務所または理事の任免方法を設立者が定めないで死亡した場合は,利害関係人または検察官の請求によって裁判所が定めることになる(40条)。通常これを寄付行為の補完と呼ぶ。次に,主務官庁(当該法人の目的とする事業を主管する行政官庁)の設立許可を得なければならない(学校法人にあっては認可,宗教法人にあっては認証)。そして,設立登記をすることによって,財団法人は成立し,法律上の権利義務の主体となる。

組織,運営

財団法人の内部的事務は,監事は不可欠の機関とはされていないが(58条),一般に財団法人の業務を監査するため監事が置かれている。特別法による財団法人では,通常これらを必要機関としている。例えば,私立学校法によって設立される学校法人である私立学校は,学校経営を目的として提供された資産を構成要素とする財団法人であり,その設立にあたっては,私立学校法30条1項5号で役員に関する規定を,6号で評議員会および評議員に関する規定を寄付行為に定めなければならないとしている。そして35条で,役員として理事5人以上および監事2人以上を置くこととし,理事のうち1人を理事長とすべき旨を定めている。以上のように,財団法人も実際の管理・運営に関しては社団法人に近い点が多い。

社団法人との対比

社団法人の場合,社団の構成員となるべき設立者の意思で目的や組織の根本が定められる点で自律的といえるのに対し,財団法人の場合は,法人の構成員でない設立者の寄付行為で目的や組織の根本が定められる点で他律的といえる。また,社団法人が,社員総会の決議によって組織だけでなく目的すら変更しうる点で弾力的であるのに対し,財団法人にあっては,寄付行為に変更手続が定められていない限りなんらの変更もなしえない点で固定的ということができる(ただし,一般に寄付行為には変更条項が置かれている)。

鍛冶 良堅