平凡社 世界大百科事典

エチゼンクラゲ

ハチクラゲ綱ビゼンクラゲ科の腔腸動物(刺胞動物)。古くから越前で知られていたクラゲなのでこの名がある。中国北部沿岸,朝鮮半島南岸,日本海,北アメリカ南部西岸,メキシコ湾,ブラジル沿岸に分布する。かさは半球状で,寒天質が非常に厚くて硬い。大きなものでは直径1m以上,重量150kgに達するものもある。全体は淡褐色で,縁はとくに色が濃く,120の縁弁がある。口腕は8個あって短く,おのおのが2翼に分かれ,多くの小触手と糸状付属器をもつ。日本近海では夏に発生する。発生場所は長江(揚子江)河口外海,対馬海峡,朝鮮半島南西岸などが考えられ,対馬暖流に乗って北海道付近まで漂流し,ときには津軽海峡を通って太平洋に入り,三陸沖に南下する。ビゼンクラゲとともに食用にされ,またタイやカワハギ類の釣餌にも用いられる。

今島 実