平凡社 世界大百科事典

連鎖球菌

連鎖状球菌ともいう。グラム陽性で,直径0.8~1.2μmの球形ないし卵形の連鎖球菌Streptococcus属の細菌。分裂増殖し鎖状に配列することからこの名がある。芽胞非形成性で一般に運動性も欠く。大部分は通性嫌気性であるが,偏性嫌気性のものもある。連鎖球菌属には性質を異にする多くの種が含まれている。病原性の弱い連鎖球菌はヒトの粘膜上に常在しているが,病原性の強いものは化膿や猩紅熱(しようこうねつ)などの種々の感染症を引き起こす。連鎖球菌は分類学的に完全なものではないが,溶血性状,生理性状,血清群などによって分類されている。たとえば溶血性状による分類では,血液寒天培地で培養したときの集落の周囲にみられる溶血性状によって次の4型が区別される。集落の周りに完全な溶血環を生じる溶血性連鎖球菌(β型),溶血環の中に不溶血球がみられる不完全溶血性連鎖球菌(α′型),集落の周りに緑色の環が生じる緑色連鎖球菌(α型),培地に変化のみられない無溶血性連鎖球菌(γ型)である。これらのうち最も病原性の強いのは溶血性連鎖球菌(細菌

川口 啓明